急性心筋梗塞の検査:トロポニンT

コウメイ:今回は心筋梗塞について勉強していきます。心筋梗塞を疑ったらどんな検査をしますか?まずは問題を見てみましょう。

第107回医師国家試験C27より改変

56歳の男性。胸痛を主訴に来院した。2時間前にテレビを見ていたとき突然、全胸部のしめつけられるような痛みを感じた。痛みは約15分続いた後いったん消失した。1時間前から再び出現したため家族の運転する自家用車で来院した。来院時には胸痛は消失していた。

身長162cm、体重85kg、血圧162/102、脈拍88/分。白血球8,400、AST22、ALT14、LD172、CK138。心電図でST上昇なし、胸部X線でうっ血なし、心エコーで壁運動の低下なし

現時点で他に実施すべき検査はどれか。

  1. 運動負荷心電図
  2. 胸部単純CT
  3. 呼吸機能検査
  4. 心筋トロポニンT
  5. 脳性ナトリウム利尿ペプチド<BNP>測定

 

心筋梗塞疑いに運動負荷心電図はダメ!!

コウメイ:病歴からすると急性心筋梗塞っぽいですよね。でも検査でははっきりしない。そんなときどうするればよいでしょうか?

 

学生C:運動負荷心電図です。走らせてST上昇がでたら心筋梗塞で決まりですね。

 

コウメイ:ダメです。心筋梗塞の可能性のある人に走らせてはいけません。勘違いしている方もいるかもしれませんが、運動負荷心電図は安定狭心症かどうかを調べるためのものです。“心筋梗塞”ではありません。

 

心筋梗塞疑いにはトロポニンT検査をする

心筋梗塞かどうか判断するには心筋トロポニンT検査が良いです。血液中に心筋トロポニンTが含まれるかを検査します。血液を少し垂らすだけです。15分で結果がでます。

トロポニン迅速検査

引用:https://www.roche-ivd.jp/products/poct/trop_t_sensitive.html

 

学生C:でも、CKもLDも心電図も正常だし、心筋梗塞ではないと思います。

 

コウメイ:ここで皆さんに覚えていてもらいたいのですが、CK、LD、心電図が正常だからといって心筋梗塞を否定できるわけではありません。CK、LD、心電図は発症数時間がたってから異常となるので、直後(1時間とか2時間)は何とも言えません。そんなときどうすれば良いのか?

 

学生C:そんなときのためにトロポニンTがあるのですね。

 

コウメイ:そうです。トロポニンTは比較的早くから異常値(陽性)がでますので早期診断に役に立ちます。
※トロポニンTが陰性だからといって完全に心筋梗塞を否定できるものではありません。

皆さんも研修医になり当直をするようになると絶対にこのような症例に遭遇しますので、“トロポニンT”を忘れずに測定するようお願いいたします。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)