コウメイ:「とても分かりやすいMRIの話」シリーズの第2話です。全4話になっております。順番通りに読むことをお勧めします。
第1話:とても分かりやすいMRIの話 〜T1強調画像、T2強調画像とは?〜
第2話:とても分かりやすいMRIの話 〜FLAIR、拡散強調画像(DWI),T2*とは?〜・・・今回
今回はT1、T2、FLAIR、拡散強調画像(DWI)、T2* について、実際の過去問を見ながら説明していきます。
頭部の画像(①~⑤)を次に示す。
![医師国家試験99D103_画像_MRI](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/MRI-546x404.jpg)
頭部単純MRIのT1強調像はどれか.
正解はaですが、慣れていないと難しいです。でも大丈夫。これからの解説を読めば大分スッキリすると思いますよ。まずは分かりやすい画像から説明していきます。
1)CT:骨が白
![頭部CT](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/ee9ffd3ede4b3ffcbf7e5937b53666c6.jpg)
一言で言えば骨が白く写っているのがCTです。MRIは骨は黒です。T1でもT2でも黒です。つまりプロトンからのエネルギーがありません。
プロトン?エネルギー?何を小難しいことを言ってんだ?
と思われる方がいらっしゃれば前回の記事を読むことをお勧めします。
![](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/13cfb83d29edd59623d6bf15bcef6b72-300x169.jpg)
なぜ骨はプロトンからのエネルギーがないのか?
プロトンとはそもそもH+です。骨はほとんどがCaですのでプロトンはあまり含まれません。だから、T1でもT2でも黒になります。空気が黒くなるのと同じですね。
少し話がそれましたが骨が白く写るのがCTです。
2)拡散強調画像(DWI)
![MRI、拡散強調画像](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/aee8fd6e3a42e66ded8ae514e34eecd2.jpg)
ちょっとぼやけていますよね。これは別に患者が動いたとか、撮影に失敗したとかそういう理由ではありません。これがDWIの特徴です。通常なら画質の悪い撮影法は要りません。しかし、ある時非常に威力を発揮します。なんだと思いますか?
そうです。皆さんご存知のように脳梗塞です。
他の撮影法では全く写らなくても、拡散強調画像ではかなりはっきり白く移ります。脳梗塞を疑ったら必ずとるようにしてください。くれずれもCTでlow(黒)に写っていないからといって、脳梗塞を否定することのないようにお願いします。
なぜ拡散強調画像では脳梗塞が白く写るかとかの詳しい原理はあまり深く突っ込まないほうがいいです。とにかく、拡散強調画像はぼやけた画像だけど、脳梗塞が白く写ると覚えてください。
※灰白質が白く写るのは正常ですので、これを脳梗塞と診断しないよう注意してください。
3)T2強調画像
![MRI-T2](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/def0e3429fab34049968fe23868444b5.jpg)
T2強調画像の特徴は何と言っても水が白く写ることです。
脳で水といったら脳室ですね。また、脳梗塞や脳浮腫では水がたまっているので白く写ります。白いので分かりやすいですね。これがT2では病変が分かりやすいと言われる理由です。
もちろん病変によっては白く写らないものもあります。病変ならどんなものでも白く写るわけではありません。
※逆に正常な部分でも白く写る部分がありますので、白い部分を見たらすぐに「脳梗塞だ!!」と診断しないようお願いします。
4)T1強調画像
![MRI-T1](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/733ab0c7fb73f8dd14100d2546f05a67.jpg)
基本的にT2と白黒が逆なのがT1です。
※なぜ白黒が逆か分からない方は前回の記事をよ~く読むことをお勧めします。
T2と白黒が逆ならどちらか片方だけあればいいじゃん
と思っている方、その通りなのですが、完全に白黒が逆ならT1とT2の2種類ある意味がありません。基本的には逆と考えていただいていいのですが、完全に逆ではないのがポイントです。
※この理由も前回の記事をよ~く読めば分かると思います。
T1の特徴としてコントラストがはっきりしていることがあげられます。そのため解剖学的な構造が分かりやすいです。
ふ~ん、T1はコントラストが・・
と漠然と読んでいる方、それはダメです。他の画像との違いを自分の目で確かめてみてください!!はっきりというかくっきりしていて見やすいですよね。自分で経験してみることが大切です。
5)FLAIR
![MRI-FLAIR](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/FRAIR.jpg)
FLAIRはよく水を黒くしたT2画像といわれます。脳室が黒くなるので、脳室周囲の病変が見やすくなります。これで納得できる方は特に問題ありません。しかし、納得されない方もいらっしゃると思います。
確かに脳室は黒くなっているけど、T2には見えないなぁ。
このように思われているかたも多いのではないでしょうか。確かに一見するとT2には見えません。しかし、確かにT2の特徴を備えています。この説明は長くなりますので次回にします。
6)T2*
T2スターと読みます。適当に読まないよう注意してください。T2*は脳出血を捉えやすいのが特徴です。黒く写ります。なぜ脳出血を捉えやすいかまでは考えなくて大丈夫です。とりあえず、T2*は脳出血と覚えましょう。
※画像は準備できませんでした。googleで検索してみてください。
今回の説明はこれで終わりですがいかがでしたか?大分、理解が深まったのではないでしょうか。
次回はFLAIRについて詳しく説明していきます。
![](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2013/10/FRAIR-266x300.jpg)