脊髄くも膜下麻酔(脊椎麻酔)で低血圧になった場合の対応 〜エフェドリンの正しい使い方〜

コウメイ(@kokusigokaku):読者の方より「脊髄くも膜下麻酔における低血圧への対応」について質問をいただきました。

読者からの質問

医師国家試験の過去問について質問です。

【第103回医師国家試験G38】
帝王切開術に際して、脊髄くも膜下麻酔を施行したところ低血圧を生じた。対応として正しいものを2つ選べ。

  1. 半坐位にする
  2. エフェドリン静注
  3. オキシトシン静注
  4. 乳酸リンゲル輸液
  5. 重炭酸ナトリウム静注

正解:b、d

質問者:aの半坐位はなぜ正解ではないのでしょうか? 低血圧では下肢拳上をしますが、その際麻酔薬が高位に流れるのを防ぐため半座位にする必要があると思いました。

 

下肢挙上で血圧が上がる理由

下肢挙上をすると血圧が上がるとされていますがそれは下肢の血液が心臓に戻るからです。半坐位にしてしまうと心臓に戻る血液が少なくなるので意味がありません。
※下肢挙上してもそれほど血圧が上がらないとの説もあります。

エフェドリンとは?

エフェドリンとはα1作用(血管収縮)とβ1作用(心臓刺激)があり、血圧を上げるための薬です。学生のうちはあまり馴染みがないかもしれませんが、有名な薬なので覚えておきましょう。主に手術中に使います。
※β2作用(気管支拡張、血管平滑筋の弛緩)もありますが、おそらく血管平滑筋への作用がα1に対して弱いので血圧は上がります。

丸暗記する必要はありませんが、気になる方もいらっしゃると思いますのでアドレナリン受容体の作用の表を貼っておきます。

アドレナリン受容体

引用:カッツング・薬理学 原書9版、p130

エフェドリンの使い方

記憶に残るようにもう少し具体的に説明していきます。「血圧を上げるにはエフェドリンを使う」これだけ知っていても意味がないので実際の使い方を見ていきましょう。これが実物です。

エフェドリン

1アンプルに1mL入っています。エフェドリン自体は40mgです。これを1mLの注射器にとって全て入れるようなことはしてはいけません

1mLの注射器ではなく10mLの注射器にとり、生食と混ぜて合計8mLか10mLにします。そして、1mLか2mLずつ使用します。

合計10mLにするのは納得できると思いますが、なぜ8mLにするのでしょうか?それは8mLにすると1mLにつきエフェドリン5mgになりキリがいいからです。先程も説明しましたが、エフェドリンは1mLで40mgの状態で販売されています。生食7mLで薄めて合計8mLにすると1mLで5mgになるわけです。

8mLがいいか、10mLがいいかは人によるので、研修医になって実際に使用する場合は指導医と相談するのがいいと思います。

エフェドリンについてはこれで説明は終わりです。もう忘れることはないでしょう。