代謝性アシドーシスと代謝性アルカローシスの評価【これだけ輸液p130-134】

コウメイ:拙書『レジデントのためのこれだけ輸液』について質問をいただいたので回答します。

読者からの質問

血ガス分析は5つのStepで解釈すると記載がありました.Step3で代償が適切か調べると思うのですが、下記の判断はしてもよいのでしょうか?

1)代謝性アシドーシスに対して、PaCO2が適切に低下していれば、呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスは合併していない

2)代謝性アルカローシスに対して、PaCO2が適切に上昇していれば、呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスは合併していない

レジデントのためのこれだけ輸液 p124
拙著『これだけ輸液』(日本医事新報社刊)より
目次

1)代謝性アシドーシスにおける呼吸性酸塩基障害の評価

「PaCO2上昇していること」は呼吸性アシドーシスと診断するために必要な要素です。「PaCO2低下している」のであれば、呼吸性アシドーシスではないでしょう。

一方、呼吸性アルカローシスの存在を完全に否定することは難しいと思います。とは言え、PaCO2が代償の範囲内であれば、その時点での影響は低いと考えられ、必要以上に気にすることもないと思います。

2)代謝性アルカローシスにおける呼吸性酸塩基障害の評価

代謝性アルカローシスについては先程と逆です。

「PaCO2低下していること」は呼吸性アルカローシスと診断するために必要な要素です。「PaCO2上昇している」のであれば、呼吸性アルカローシスではないでしょう。

一方、呼吸性アシドーシスの存在を完全に否定することは難しいと思います。とは言え、PaCO2が代償の範囲内であれば、その時点での影響は低いと考えられ、必要以上に気にすることもないと思います。

3)補足:呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシスの原因

質問への直接の回答は以上になりますが、質問者の真の質問は、「呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスになる原因を否定してよいか?」だと思います。

『レジデントのためのこれだけ輸液』_p138_呼吸性アシドーシスと呼吸性アルカローシスの原因疾患
拙著『これだけ輸液』(日本医事新報社刊)より

血液ガスで呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスの可能性が低い場合でも、(積極的には疑いませんが)表に記載のある原因を完全に否定することはできないでしょう。病歴や身体所見、その他検査と併せて判断する必要があります。

もし特定の疾患を疑った場合は、それに特化した検査(肺塞栓であれば胸部造影CT、妊娠であれば尿検査など)を検討する必要があります。

以上で回答は終わりです。

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