※全18回です。目次はこちらです。
コウメイ:今回は網膜色素変性について勉強していきます。
1)網膜色素変性のポイント
ポイントは網膜が全て変性するのではなく、網膜の外側が変性することです。その結果、暗いところが見づらくなります。網膜の中心、つまり黄斑は正常です。よって、視力検査は正常です。普通に1.0とか見えます。
勘違いしている人がいるかもしれませんが、視力検査は網膜の機能というよりは、黄斑の機能を調べる検査と理解しましょう。以上のポイントを頭に入れた上で過去問を見てみましょう。
2)網膜色素変性の眼底写真
夜になると物が見えにくいと訴える患者の両眼の眼底写真を示す。
必要な検査はどれか。
a 色覚検査
b 隅角検査
c 眼軸長検査
d 視覚誘発遠位
e 網膜電位〈ERG〉
黄斑の周囲が黒くなっていおり、異常であるのが分かります。「異常」と言われても、眼底写真なんて普段みないので、異常かどうかなんて分かりにくいですよね。正常な眼底写真を載せて起きますので比べてみてください。
正常と比べると異常が明らかですね。黒い部分が異常であり、網膜が変性しているのが分かります。
※「変性」の定義は難しいのであまり深く気にしなくていいです。
3)網膜色素変性の検査1:網膜電図(ERG)
網膜が変性しているので、網膜の検査である網膜電図が異常となります。網膜電図は眼に電極を付け、網膜の電気活動を調べます。心電図みたいなものですね。
正常では上記のような結果が得られるのですが、網膜に病変がある場合形が変化します。どのように変化するかまでは気にしなくて大丈夫です。
とにかく、眼に電極を付けるのが網膜電図であり、網膜電図はその名の通り、網膜の病気を見る検査と理解してください。網膜に病変がある糖尿病網膜症などでも異常が見られます。
4)網膜色素変性の検査2:視野検査
また、変性した部分は見えなくなるので当然視野検査でも異常が見られます。この問題です。
眼科検査の写真を示す。
この検査が診断に有用な疾患はどれか。
a 斜視
b 白内障
c 糖尿病網膜症
d 網膜色素変性
e 加齢黄斑変性
これは視野検査の写真です。今回網膜色素変性の勉強をしているので当然答えはdの網膜色素変性なのですが、ここではどのような結果が得られるかまで考えてみましょう。
今、「覚えましょう」ではなく「考えてみましょう」と言いました。視野検査でどうなるかは覚えるものではなく、自分で考えるものです。と言うと、難しく感じそうですが簡単です。
網膜色素変性は黄斑ではなく網膜の周りが悪くなる病気ですので、視野検査でも周りが見えない結果になります。このような感じです。
以上、網膜色素変性について解説しました。次回は遠視について勉強していきます。