【眼科16】老眼、ドライアイ 〜調節検査、Sjogren症候群〜【106D50, 105A36, 104A56】

※全18回です。目次はこちらです。

コウメイ(@kokusigokaku):今回は老眼、ドライアイについて説明していきます。中年の方で「文字がみえにくい」、「異物感がある」、「眼が痛い」、「頭重感」などの症状が慢性的にあった場合は老眼、ドライアイの可能性が高いです。

老眼の起こる機序

老眼とは近くが見づらい眼のことですが、なぜ歳をとると近くが見づらくなるのでしょうか?

人間の眼は水晶体によってピントを調節しています。水晶体が薄いと遠く(遠点)を、厚いと近く(近点)を見ることができます。厚くするには筋肉の収縮が必要で、筋肉が収縮しないときは薄くなります。

つまり、もともとは遠くにピントがあっており、筋肉の力で近くにピントを合わせています。

ピント調節

 

この調節の幅を調節力と言います。眼に限らず歳と伴に筋肉は衰えていきますので、水晶体を厚くすることができなくなり(調節力が下がり)、近くにピントが合わなくなります。これが老眼です。以上を頭にいれ、過去問を見ていきましょう。

老眼の機序

老眼の検査

 

第106回医師国家試験D50

48歳の男性。事務職。細かい文字が見えにくくなったことを主訴に来院した。1年前から書類の文字や数字が読みづらくなり、3か月前からパソコン画面の字も見えにくくなったという。視力は右1.0(1.0 × +1.50D)、左1.0(1.0 × +1.5D)。眼圧は右18mmHg、左18mmHg。眼位は正常で、眼球運動に異常を認めない。細隙灯顕微鏡と眼底検査とで明らかな異常を認めない。次に行う検査として適切なのはどれか。

  1. 調節検査
  2. 仮性同色表
  3. 動的量的視野
  4. 視覚誘発電位
  5. Hess赤緑試験
答え(クリック)

a

 

中年の方が「文字の見づらさ」を訴えていますので、老眼かドライアイの可能性が高いです。ですので、aの調節検査が必要です。調節検査とはどれだけ近くで文字を読むことができるかの検査です。

皆さんは私のブログをパソコンかスマホで見ていると思いますが、もっと近づいて見てみてください。どこかで文字がぼやけるはずです。その限界が近点になり、近点を測定するのが調節検査です。

以上で正解の選択肢の解説は終わりですが、他の選択肢もきちんと見ていきましょう。

仮性同色表】
aの仮性同色表とは下のようなものです。

仮性同色表

数字が書いてありますが読めますか?これが読めない場合、色覚異常の可能性があります。

【動的量的視野検査】
cの動的量的視野検査とはいつも見ている視野検査のことです。

【視覚誘発電位】
dの視覚誘発電位とは視神経〜後頭葉の異常を調べる検査でしたね。下の写真のように、後頭葉に電極を付けて電位を調べます。

視覚誘発電位
引用:筑波大学附属病院

【HESS赤緑試験】
eのHESS赤緑試験は眼の動きを紙にプロットする検査でした。

HESS試験

 

このように、正解以外の選択肢もきちんと確認するのがよい勉強です。他の問題も同様に見ていきましょう。

ドライアイの原因

 

第105回医師国家試験A36

10年前から良寛の異物感があった。視力は右1.0(矯正不能)、左1.0(矯正不能)。フルオレセイン染色下での細隙灯顕微鏡検査にて角膜に点状の上皮欠損を認める。眼底に異常を認めない。考えられるのはどれか。

  1. Reiter症候群
  2. Sjogren症候群
  3. Sturge-Weber症候群
  4. von Recklinghausen病
  5. Wilson病
答え(クリック)

b

 

中年の女性が慢性の眼精疲労を主訴に来院しています。老眼かドライアイが考えられます。ドライアイは加齢が原因の場合もありますが、選択肢bのSjogren症候群の可能性もありますので精査が必要です。

以上で問題の解説は終わりですが、まだ次の問題に移ってはいけません。

今回はSjogren症候群が正解でしたが、「Reiter症候群」「Stturge-Weber症候群」「von Recklinghausen病」「Wilson病」がそれぞれどのような病気か知っていますか?分からない場合、きちんと教科書で調べてみましょう。

老眼の治療

 

第104回医師国家試験A56

53歳の女性。事務職。眼の圧迫感を主訴に来院した。5年前から気管支喘息があり副腎皮質ステロイド吸入薬を使用している。3年前から夕方になると、目がかすむことがあった。最近は、書類が見づらくなり眼の痛みを感じることが多い。眼位と眼球運動とに異常を認めない。視力は右1.0(1.2 × -0.25D)、左1.2(矯正不能)。眼圧は右22mmHg、左22mmHg。細隙灯顕微鏡検査では前眼部、中間透光体および眼底に異常を認めない。静的量的視野検査で異常は検出されない。涙液分泌検査SchirmerテストⅠ法で右10 mm、左10 mm。調節幅は両眼ともに2.0Dである。対応として適切なのはどれか

  1. 抗菌薬点眼
  2. β遮断薬点眼
  3. トロピカミド点眼
  4. 遠用眼鏡処方
  5. 近用眼鏡処方
答え(クリック)

d

 

中年の方が眼の圧迫感を訴えていますので老眼かドライアイです。Schirmerテストでは左右ともに10mmですので悪くはないですね。
※今「Schirmerテストの正常値っていくらだっけ?」と思われた方はいますぐ調べてみましょう。疑問に思ったときすぐに調べると、国試合格の可能性が上がっていきます。

となると、老眼の可能性が高くなります。治療は眼鏡です。眼鏡は眼鏡でも、近くを見るための眼鏡なので近用眼鏡を用います。いわゆる老眼鏡のことです。

【遠用眼鏡】
dの遠用眼鏡とは皆さんがかけている普通の眼鏡のことです。

【β遮断薬点眼】
bのβ遮断薬点眼は眼圧を下げる目薬で緑内障に使います。

【トロピカミド】
cのトロピカミド点眼は散瞳薬のことで眼科医が眼底を詳しく調べるときに使う、主に検査用の目薬です。

このように、正解以外の選択肢についてもきちんと勉強していくのが大切です。次回はレーザー光凝固です。

黄斑円孔

【眼科17】レーザー光凝固 〜網膜裂孔、糖尿病網膜症、閉塞性隅角緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症〜【104E12, 101F14】

2015/02/05