【眼科17】レーザー光凝固 〜網膜裂孔、糖尿病網膜症、閉塞性隅角緑内障、中心性漿液性網脈絡膜症〜【104E12、101F14】

※全18回です。目次はこちらです。

コウメイ:今回はレーザー治療について説明していきます。レーザーって色々なところで出てきますが分かりづらいですよね。きちんと勉強していきましょう。

※網膜光凝固術やレーザー光凝固術などは同じものです。

目次

1)レーザーの原理

レーザー治療は適応(病名)について問われることが多いですが、適応をひたすら覚えてもつらいだけで、すぐに忘れてしまうでしょう。適応ではなく、レーザーを打つとどうなるかを理解しましょう。

レーザーを打った場所は熱くなりますので凝固が起こります。そして、さらにレーザーを打ち続けるとがあきます。何となくイメージできますか?プラスチックに虫眼鏡で太陽の光を当てるのに似ているかもしれません。

虫眼鏡のイラスト(レーザー治療のイメージ)

プラスチックに太陽の光が当たると、一瞬プラスチックが溶けてその後かたまります。そして、そのまま太陽の光を当て続けると孔があきますね。レーザーもこのようなものと思っていただいて構いません。以上を頭に入れた上で過去問を見てみましょう。

2)問題演習

医師国家試験104E12

レーザー光凝固術が有効でないのはどれか。

a 網膜裂孔
b 網膜色素変性
c 糖尿病網膜症
d 閉塞隅角緑内障
e 中心性漿液性網脈絡膜症

正解はbの網膜色素変性ですが、

網膜色素変性にレーザーは有用でない
網膜色素変性にレーザーは有用でない
網膜色素変性にレーザーは有用でない

とだけ覚えても意味がありません。なぜ網膜色素変性では有用ではなく、なぜ他の選択肢(病気)では有用かをきちんと考えるのが大切です。

網膜色素変性は網膜の周囲が変性してしまう病気でした。ここにレーザーを打ってしまったらさらに悪化してしまいます。絶対にしてはいけません。

医師国家試験108E29_画像A_網膜色素変性の眼底写真_改変
画像:医師国家試験108E29より改変

3)レーザー治療の適応となる疾患

網膜裂孔

aの網膜裂孔とは網膜に孔があいてしまう病気でした。この孔をそのままにしておくと、そこから硝子体液が感覚網膜と網膜色素上皮との間に入り込み網膜剥離になってしまいます。これを防ぐために網膜裂孔の周囲にレーザーを打ち、感覚網膜と網膜色素上皮とを凝固させ、結合を強くする必要があります。

文字だけで説明してもイメージしづらいと思いますので、動画を見てみましょう。説明は英語ですが見れば分かります。

※3:10から開始するよう設定してあります。10秒程見れば十分です。

糖尿病網膜症

cの糖尿病網膜症では無灌流域の細胞からVEGFが分泌され、新生血管が生えてしまします。それを防ぐために、無灌流域にレーザーを打ち、熱で細胞を変性させVEGFが出ないようにします。

閉塞隅角緑内障

dの閉塞隅角緑内障では急性緑内障発作が起こる可能性が高いです。急性緑内障発作の治療はレーザーでした。となると、急性緑内障発作になる前にレーザーをしといた方が、良いですよね。閉塞隅角緑内障で急性緑内障発作になっていない段階でもレーザーを行います。
※「閉塞隅角緑内障と急性緑内障発作はどう関係するんだ?」と思われた方はこちらをご覧ください。

中心性漿液性網脈絡膜症

eの中心性漿液性網脈絡膜症は黄斑の近くの血管から液体成分が漏れてしまう病気です。その血管にレーザーを当て、血管を凝固させ、液体成分が漏れないようにします。

このようにきちんと勉強すると忘れにくいし、自信をもって回答することができます。同様にもう一問見てみましょう。

医師国家試験101F14

レーザー光凝固が有効なのはどれか。

a 黄斑円孔
b 黄斑前膜
c 網膜色素変性
d 網膜中心動脈閉塞症
e 中心性漿液性網脈絡膜症

正解はeの中心性漿液性網脈絡膜症です。先程解説したので大丈夫ですね。これを正解したからといって、次の問題にいってはダメですよ。他の選択肢がなぜダメか考えていきましょう。

4)レーザーの適応とならない疾患

黄斑円孔

aの黄斑円孔は黄斑に孔があいてしまう病気です。

医師国家試験108D38_画像_黄斑円孔のOCT_改変
画像:医師国家試験108D38より改変

これは後部硝子体膜によって、黄斑が引っ張られるのが原因なので、後部硝子体膜を取り去る手術(硝子体手術の一種)が必要になります。

ここで、少し賢い方は「網膜裂孔に似ているからレーザーを打ってもいいんじゃない?」と思われるかもしれません。しかし、レーザーはダメです。

レーザーを打った場所の細胞は凝固し機能しなくなります。黄斑には視力に関わる大事な神経がめちゃくちゃある場所です。レーザーを打ったらそれらの神経が全て機能しなくなります。ですので、黄斑にレーザーを打つのはダメです。

黄斑前膜

bの黄斑前膜とは黄斑に膜が張ってしまう病気です。

医師国家試験113D59_画像_黄斑上膜の眼底写真_改変
画像:医師国家試験113D59より改変

「別に膜ぐらい張ってもいいじゃん」と思われる方もいるかもしれませんがダメです。ただ膜が張るだけならいいのですが、この膜は収縮する特徴があります。

しかも、黄斑にべったりくっついているので、黄斑前膜が収縮すると、黄斑も収縮してしまいます。その結果、像が歪んで見えます(変視)。黄斑前膜の治療は眼に器械を入れ、黄斑前膜を剥がす手術(硝子体手術の一種)を行います。

文字だけで説明してもイメージしづらいと思いますので、動画を見てみましょう。説明は英語ですが見れば分かります。

※1:52から開始するよう設定してあります。15秒程見れば十分です。

ここにレーザーを打っても膜が無くならないし、黄斑の細胞が機能しなくなってしまうので、レーザーは行いません。

網膜色素変性

cの網膜色素変性は先ほど説明したので大丈夫ですね。

網膜中心動脈閉塞症

dの網膜中心動脈閉塞症は特に打つ理由がありません。もしかすると、「血管が閉塞するのだからVEGFが分泌され、新生血管が生えてしまう。それを予防するためにレーザーを打ったほうがいいんじゃない?」と思う方もいるかもしれません。

そう思われた方は賢いです。しかし、網膜中心動脈閉塞症はある時間が過ぎると血管が再開通するので、長時間、無灌流域は存在せず、VEGFも分泌されず、新生血管は生えません。よって、レーザーは打ちません。

以上で解説は終わりですが、国試の勉強は今回やったように、正解以外の選択肢をきちんと勉強していくことが大切です。ただ、これを全て一人でやるとかなり時間がかかり、国試まで終わらないかもしれません。ですので、ネット講座や解説書を上手く活用しましょう。

今回は以上で終わりです。次回は「重症そうで重症でない病気 」です。

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