※全18回です。目次はこちらです。
コウメイ:今回は眼のウイルス感染症について説明していきます。早速問題を見てみましょう。
1)文字だけでなく実物(画像)を確認する
ウイルスが原因となるのはどれか。2つ選べ。
a 咽頭結膜熱
b 春季カタル
c 封入体結膜炎
d 巨大乳頭結膜炎
e 急性出血性結膜炎
正解は咽頭結膜熱と急性出血性結膜炎ですが、いつも言っているように文字だけ覚えても意味がありません。できるだけ実物を確認しましょう。
咽頭結膜熱
![医師国家試験100D4_画像_咽頭結膜熱](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/882397364230f0bcce2ba26f672931d8.png)
急性出血性結膜炎
![急性出血性結膜炎_CC BY-SA 3.0](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/273d90e4869344980ec1d71e3a90557e.jpg)
正解以外の選択肢もきちんと調べることが重要です。春季カタルとはアレルギーのことです。
春季カタル
![医師国家試験101G55_画像_春季カタル](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/fd78484017fd5ec0d5c1cb1e01de15f9.png)
封入体結膜炎
封入体結膜炎はクラミジアが原因です。クラミジアはウイルスではありません。
![封入体筋炎(クラミジア結膜炎)_CC BY 3.0](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/525b0f1407be10d8522bbbf5cf39c7e3.jpg)
巨大乳頭結膜炎
巨大乳頭結膜炎とはコンタクトレンズなどが原因で起こります。
![巨大乳頭結膜炎_CC BY-NC-ND](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/e95d752b3e0041cd14c53ab174e49cd9.jpg)
2)流行性角結膜炎の所見
次に流行性角結膜炎について説明していきます。これはよく出題されます。なぜかというと、めちゃくちゃ感染力が強いからです。きちんと対処しないと、他の患者に移ってしまい大変なことになります。眼科の中では要注意な病気であるのでよく出題されます。問題を見ていきましょう。
20歳の男性。右眼を開けられないことを主訴に来院した。今朝、起床時に右の開瞼が困難であることに気付き、その後も改善しないため受診した。10日前から、同居の弟の両眼に同様の症状がみられているという。体温36.2℃。流涙を認める。顔面の写真(A、B)を別に示す。
![医師国家試験106I56_画像A_流行性角結膜炎の顔面の写真](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/79a13217a6935cc4060da9c3188e97a0.png)
![医師国家試験106I56_画像B_流行性角結膜炎の顔面の写真](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/78fca85995cd7d84732b7a8cfced2100.png)
この疾患でみられないのはどれか。
a 眼脂
b 偽膜形成
c 虹彩毛様体炎
d 点状表層角膜症
e 耳前リンパ節の圧痛
右眼が赤くなっており、弟にも同様の症状があるので流行性角結膜炎と考えられます。よって、正解はcの虹彩毛様体炎です。ただ、
流行性角結膜炎には虹彩毛様体が見られない
流行性角結膜炎には虹彩毛様体が見られない
流行性角結膜炎には虹彩毛様体が見られない
と、「見られない」ものだけ覚えても意味がありません。「見られるもの」も覚えましょう、
眼脂、偽膜形成、点状表層角膜症、耳前リンパ節の圧痛が見られます。
偽膜
偽膜と点状表層角膜症とはちょっと分かりにくいので説明します。偽膜は下の写真のように炎症の結果できるものです。
![流行性角結膜炎の偽膜_CC BY-NV-ND](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/eccdc430411a7cd1db845d8eb1358957.jpeg)
虹彩毛様体炎
色々な症状の出方がありますが、前房蓄膿が有名ですね。
![医師国家試験111I77_画像_前房蓄膿(ベーチェット病、Behçet病)の前眼部写真](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/3505707c8b87135ba55d04f2b42dcf2e.png)
※前房蓄膿の画像のベーチェット病が原因のものです。
点状表層角膜症(SPK)
点状表層角膜症は角膜の表面に小さな傷ができるものです。角膜の小さな傷をただ見てもなかなか分かりにくいので、眼にフルオレセインという蛍光色素をつけて観察します。傷がある部分にはフルオレセインが溜まり、細隙灯顕微鏡で青色の光を当ててみると黄色く光って見えます。傷がある部分にはフルオレセインが溜まり、細隙灯顕微鏡で青色の光を当ててみると黄色く光って見えます。
![医師国家試験98D8_画像_点状表層角膜症(SPK)_改変](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/fafce7e5bd8f65a9517b742eda90cbf6.png)
※点状表層角膜症の画像はSjögren症候群が原因のものです。
以上、ウイルス感染症について説明しました。次回は「老眼、ドライアイ」について説明していきます。
![](https://ishikokkashiken.com/wp-content/uploads/2015/02/ce5ef2cfcdf25df80b917d389078631b-300x141.png)