【眼科11】遠視と弱視 〜調節性内斜視〜

※全18回です。目次はこちらです。

コウメイ:今回は遠視について勉強していきます。

目次

1)遠視は遠くがよく見える眼ではない

まず覚えておいてほしいのは、遠視とは遠くがよく見える眼ではなく「どこにもピントが合っていない眼」です。これを頭に入れて問題を見ていきましょう。

医師国家試験108H2

小児の両眼の強度遠視への対応はどれか。

a 経過観察
b 輻湊訓練
c 矯正眼鏡装用
d 縮瞳薬点眼
e 両眼内直筋後転手術

先程も言ったように、遠視は遠くがよく見える良い眼ではありません。ですので、治療が必要です。cの矯正眼鏡で治療しましょう。遠視用の眼鏡のことです。眼鏡をかけないと次のようになります。

2)調節性内斜視 

医師国家試験107A3

調節性内斜視の原因となるのはどれか。

  1. 遠視
  2. 乱視
  3. 眼振
  4. 上斜筋麻痺
  5. 顔面神経麻痺

遠視は遠くが良く見える良い眼ではありません。ピントが合っていない眼です。そのため、何とか近くを見ようとピントを合わせようとします。遠視に限らず、近くを見るとどうなりますか?

寄り目になりますよね。つまり内斜視です。このように、遠視を何とか調節しようとして内斜視になっているものを調節性内斜視と言います。

逆に、小さい子で眼が寄り目の人を見たら遠視を考えてください。なお、内斜視にすることである程度ピントを調節することができるのですが、完全に調節できるわけではありません。ですので、遠視用の眼鏡で治療してあげる必要があります。小さいころにきちんと治療をしないと次のようになります。

3)弱視とは

医師国家試験105I51

6歳の男児。就学時健康診断で両眼の視力不良を指摘されたため来院した。遮閉を含め既往に特記すべきことはない。視力は右0.5(0.6 × +5.00D)、左0.4(0.6 × +5.00D)。調節麻痺薬点眼後の屈折検査は右+5.00D、左+5.00D。眼位は正位。固視の異常を認めない。細隙灯顕微鏡検査と眼底検査とに異常を認めない。

診断はどれか。

a 不正乱視
b 遠視性乱視
c 屈折異常弱視
d 調節性内斜視
e 間欠性外斜視

6歳の子が遠視用の眼鏡をかけても視力が右も左も0.6ですね。


※「なぜ遠視用の眼鏡と分かるんですか?」と思われた方はこちらをご覧ください。

6歳と言えば、小学校1年生になる頃です。皆さんこの頃視力はどうだったでしょうか?1.0はあったと思います。たとえ裸眼視力が悪かったとしても眼鏡をかければよく見えたでしょう。しかし、この患者は眼鏡をかけても視力が右も左も0.6しかありません。

このように、いくら矯正しても視力が良くならないのを弱視と言います。なぜ弱視になってしまうのか?ご存知かとは思いますが、生まれたばかりの赤ちゃんは眼がよく見えていません。大きくなっていく過程で色々なものを見、その情報が脳に送られることで脳が鍛えられ見えるようになります。

しかし、眼のピントが合っていないと、鮮明な画像の情報が脳に送られず、脳が鍛えられません。脳を鍛えるには時期が大切です。小さい頃でないと鍛えることができません。個人差もありますが6歳とか7歳頃までです。その時期を過ぎると脳を鍛えることができず、いくら眼鏡をかけてもよく見えなくなってしまいます。

弱視になる理由はいくつかありますが、今回の遠視のように屈折異常(遠視)が原因のものを屈折異常弱視と言います。

なお、近視は遠くにはピントが合っていませんが近くにはきちんとピントが合っていますので弱視にはなりません。では、他にどのような原因で弱視になってしまうか見ていきましょう。

4)弱視の原因

医師国家試験103D12

弱視をきたしやすいのはどれか。3つ選べ。

a 近視
b 遠視
c 不同視
d 眼瞼内反
e 先天白内障

正解は、遠視、不同視、先天白内障です。遠視は先程説明したので大丈夫でしょう。

【不同視】
不同視とは右眼と左眼の視力の差が大きいものを言います。この場合、良い方の眼でしか物を見なくなり、悪い方の眼は使わなくなります。その結果、悪い方の眼からの情報が脳に伝わらず、脳が鍛えられなくなり、悪い方の眼が弱視になってしまいます。これを不同視弱視と言います。

【先天白内障】
先天白内障は生まれた時から白内障がある状態です。もちろん程度にもよりますが、白内障が強いと物を見ることが出来ず、脳に情報が伝わらないため、脳が鍛えられず弱視になってしまいます。もう一問問題を見てみましょう。

医師国家試験101F13

弱視をきたしにくいのはどれか。

a 近視
b 遠視
c 不同視
d 斜視
e 先天白内障

正解はaの近視です。先程説明したように、近視は遠くは見ることができませんが、近くにはきちんとピントが合っていますので、脳に鮮明な画像の情報が伝えられ脳が鍛えられ、弱視にはなりません。

近視で弱視が来さないことを覚えるのも重要ですが、この問題ではその他の選択肢で遠視をきたしやすいというのを覚えていただきたいです。

遠視、不同視、先天白内障については先程説明したので大丈夫ですね。残りの斜視について解説しましょう。

【斜視】

斜視とは眼が真ん中を向いていない状態です。

斜視の画像(イメージ)

斜視がある方の眼はあまり使わなくなります。その結果、脳に情報が伝わらず、脳が鍛えられないので斜視がある方の眼が弱視になってしまいます。

以上、遠視と弱視について説明しました。これで大分詳しくなったのではないでしょうか。次回は眼窩吹き抜け骨折について解説します。

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