モルヒネの副作用:問題集の解説は参考程度に

最終確認日:2017/07/25 最終更新日:2017/07/25

コウメイ:モルヒネの副作用について質問をいただいたので回答します。 特に、モルヒネで副作用が起こる機序について詳しく解説していきます。まずは質問を見てみましょう。

読者からの質問

モルヒネについて質問です。問題集の解説に副交感神経を亢進させると書いてありました。 一方、巨大結腸症の治療でモルヒネは抗コリン作用で腸管運動を低下させるため禁忌とありました。

私としては、副交感神経の作用として腸管運動亢進と覚えていたので矛盾を感じています。

 

コウメイ:問題集には以下のように書かれてありました。

某問題集の解説

コカインは交感神経亢進症状を呈し、これに反しモルヒネは副交感神経亢進症状を呈する。

 

コカインなどの覚醒剤は確かに交感神経を刺激し、交感神経亢進症状を引き起こします。しかし、モルヒネなどの麻薬は副交感神経を刺激しているわけではありません。少し紛らわしい表現ですね。

 

モルヒネ(麻薬)の作用

モルヒネの作用には以下のようなものがあります。

  • 鎮痛
  • 便秘
  • 縮瞳
  • 呼吸抑制

 

便秘、嘔気・嘔吐、縮瞳などがあり、一見すると副交感神経が亢進してそうな印象があります。そのため問題集では覚えやすいように副交感神経亢進症状と表現したのでしょう。

しかし、正確には副交感神経が亢進しているわけではありません。実際はオピオイド受容体の作用によります。

 

学生B:便秘、縮瞳、呼吸抑制は副交感神経亢進の症状です。だから、オピオイド受容体刺激の症状ではないと思います。

 

コウメイ:確かに、便秘、縮瞳、呼吸抑制は副交感神経が亢進しても起こります。ただ、オピオイド受容体が刺激されても起こります。ここを勘違いしていた方がいらっしゃれば知識を改めましょう。

 

オピオイドで便秘はなぜ起こる?

オピオイド受容体の刺激で便秘が起こることは分かりました。では、なぜオピオイドで便秘が起こるか説明していきます。

それは腸にもオピオイド受容体があるからです。モルヒネはそれを刺激するため便秘になります。

 

学生B:オピオイド受容体を刺激するということは腸が収縮するということですよね。それなら、むしろ腸の運動が亢進して下痢になると思うのですが。

 

コウメイ:いいところに気がつきましたね。 その通りである程度腸が収縮すると、腸の運動が亢進して下痢になります。しかし、モルヒネでオピオイド受容体が刺激されると、腸はずっと収縮したままになります。拡張せずに収縮したままです。蠕動運動はありません。だから便秘が起こるのです。

※問題集に書いてあるように抗コリン作用の影響もありますが、オピオイド受容体の刺激が原因と覚えるのがいいと思います。モルヒネの本質はオピオイド受容体刺激ですので。

 

問題集の解説を盲信しない

問題集を利用する際に注意すべきことがあります。 問題集の解説は100%正しいわけではありません。 誰が書いているかは分かりませんが、おそらく全てを各科の専門の医師が書いているのではないと思います。

内容が薄いというかyear noteの該当箇所をそのまま写したと思われる部分もあります。コピペも多いです。いくつかは間違った記載もあります。100%信じるのではなく、あくまで参考程度にし、気になる箇所があれば必ず教科書で調べるようにしましょう。

 

問題集はうまく利用する

色々問題集の悪いところを挙げてしまいましたが、問題集は利用しないほうがいいとかそういうことを言いわけではありません。問題集は基本的な内容がまとまっており、多くの学生にとって有用です。

しかし、書いてある内容を100%信じるのではなく、おかしいと思ったり、納得できないと思ったときは必ず教科書で確認するようにしてください。

これは問題集に限らず、ネット講座、大学の授業、先輩から教えてもらったこと、コウメイ塾全てにおいて当てはまります。

 

情報源(ソース)はきちんとしたものを

今後、医師になり、実際に治療を行うようになった時は必ずきちんとした情報源を利用するようにしてください。ある治療を行い良くない結果が起こってしまい、その治療を行った理由(根拠)を聞かれた時

  • QBに書いてありました
  • ネット講座で言ってました
  • 先輩医師が言っていたような・・
  • コウメイ塾に書いてありました

なんて言っても、全く意味がありません。

必ず教科書(ハリソンなど)、電子教科書(UpToDate、DynaMedなど)、各科の専門書、論文で確認してから治療を行うようお願いします。今回の講義は終わりです。お疲れ様でした(^_^)








ABOUTこの記事をかいた人

2010年:第104回医師国家試験合格 2012年:初期研修終了、コウメイ塾開始

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