※全18回です。目次はこちらです。
コウメイ:今回は加齢黄斑変性について勉強していきます。
1)加齢黄斑変性の本質
加齢黄斑変性の本質は、加齢+黄斑の変性+脈絡膜新生血管です。
基本的に多くの病気は加齢が原因となるのですが、この病気でわざわざ加齢と書いてあるのは特に加齢が原因となるからです。50歳以上であるのが診断基準のひとつとなっています。
その名の通り黄斑が変性します。その結果、正常とは違った色に見えます。
脈絡膜から新生血管が生えてくるのがポイントです。
「別に血管が生えてもいいじゃないか」と思われるかもしれませんがダメです。糖尿病網膜症でも言いましたが、新生血管は非常にもろいです。その結果、出血し一瞬で見えなくなります。
出血しなくても存在自体が問題です。それについて過去問を見ながら解説していきます。
2)加齢黄斑変性のOCT画像
加齢黄斑変性の検査に用いられるのはどれか。
a Schirmer試験
b アノマロスコープ
c 光干渉断層計〈OCT〉
d フレアセルフォトメーター
e スペキュラーマイクロスコープ
正解はcの光干渉断層計〈OCT〉ですが、
加齢黄斑変性の検査ではOCTを使う
加齢黄斑変性の検査ではOCTを使う
加齢黄斑変性の検査ではOCTを使う
とだけ覚えても意味がありませんん。OCTとはそもそもなんなのかをきちんと理解しましょう。OCTとはこれです。
3)正常眼のOCT
今までなら顕微鏡でしか見ることができなかった網膜の構造を、特別な光を当てることで撮影できるめちゃくちゃ画期的な検査です。撮影時間も5秒〜10秒程度です。
「ふ〜ん」としか思っていない方、よく考えてみてください。網膜を顕微鏡で見るということは、網膜を生検する必要があります。皮膚とかだったらすぐに生検できますが、網膜ですよ。どうやって生検しますか?というか、そもそも黄斑なんて生検したらダメですよね。
OCTはそれを5秒とか10秒で見ることができる検査なんです。OCTのすごさが分かったところで、正常構造について学んでいきましょう。ご存知のように網膜は10層構造であり、OCTでシマシマになっている部分がそうです。ただ、将来眼科医を考えている方以外はどれが何なのかは気にしなくてよいです。とりあえず、このシマシマの部分が網膜であると覚えてください。
黄斑の部分は少しへこんでいるのが分かります。これは病気ではなく、正常ですので勘違いしないでください。
網膜の下には脈絡膜です。脈絡膜については、ここが脈絡膜であることが分かれば大丈夫です。
4)加齢黄斑変性のOCT
正常なOCTを理解したところで、加齢黄斑変性ではどうなるか見てみましょう。
見るからに異常ですね。まず脈絡膜から新生血管が生えているのが分かります。その結果、網膜(中心窩)は上に押し上げられ、へこみが無くなっています。
また、網膜が上に押し上げれた結果、感覚網膜と網膜色素上皮とが剥がれ、隙間ができています。感覚網膜と網膜色素上皮との間に隙間ができるのを何というか覚えていますか?
網膜剥離でしたね。加齢黄斑変性は網膜剥離の原因のひとつとなります。
以上、OCTについて勉強しました。めちゃくちゃ便利な検査であるのが分かりましたね。では、これを眼底写真で見るとどうなるか見ていきましょう。
※OCTにはカラーと白黒がありますが、カラーが新しい器械で、白黒が古い器械というわけではありません。
5)加齢黄斑変性の眼底写真
眼底写真を見ると、黄斑の周囲が黄色くなっていて、正常では見られない変な血管があるのが分かります。これは先程説明した、脈絡膜から生えた新生血管です。
「正常で見られない」と言われても、正常な網膜を見慣れていないと、正常かどうかなんて分からないと思います。正常な眼底写真を載せておきますので、比べてみてください。
※正常な眼底写真は右眼、加齢黄斑変性の眼底写真は左眼です。
正常な写真と比べると分かりやすいですね。網膜に限らず病気の写真を見るときは、正常と比べることをお勧めします。
今回の講義は終わりです。次回は網膜色素変性について勉強していきます。