もやもや病と脳動脈奇形との見分け方:病歴を重視しよう

最終確認日:2017/07/28 最終更新日:2017/07/28

コウメイ:読者の方から「もやもや病と脳動脈奇形との見分け方」について質問をいただきましたので回答します。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

第100回医師国家試験A46

6歳の女児。1週前から頭痛と嘔吐とが出現し、歩行時ふらつくようになってきたため来院した。右上下肢に運動失調を認める。頭部単純MRIのT1強調像と右椎骨動脈造影側面像とを以下に示す。

脳動静脈奇形のMRI 脳動静脈奇形の血管造影

 

この問題に対し以下のような疑問を持ったようです。

読者からの質問

もやもや病と脳動脈奇形との見分け方がいまいち理解できません。例えば100A46の問題の脳血管造影の画像などですが、脳動脈奇形のnidusという所見が、もやもやしているようにも見えてしまいます。この2つの疾患をうまく整理して理解できるコツがございましたらご教授ください。

 

コウメイ:そもそも、もやもや病って何でしょうか? 「血管がもやもやしている病気」と思われた方は本質が分かっていません。この際にきちんと勉強しましょう。

もやもや病とは?

もやもや病とは両側の内頚動脈が閉塞した病気です。

もやもや病、病態

 

もやもや血管は、閉塞した血管を補うために生じた側副血行路です。あくまで結果です。病気の本質は内頚動脈の閉塞です。

 

画像信仰主義はダメ!!

いつも言っていますが、画像(血管造影、CT、MRI、心電図、エコー)が出てくる問題で画像のみから診断しようとするのはダメです。病歴を重視しましょう。

もやもや病

特に小児では笛を吹いた時やラーメンをフーフーしたときに症状が起こるのが特徴です。

脳動静脈奇形

特に誘引はなく脳出血、クモ膜下出血、痙攣を来します。

※詳しくは教科書で確認してください。こういうのをきちんと確認するひとは成績が伸びます。

 

もやもや病ではなさそう・・

以上を頭に入れた上で、100A46を考えてきます。もやもや病でしょうか?脳動静脈奇形でしょうか?

もやもや病が小児で発症するとしたら、過換気による脱力が症状です。今回そのような所見はありません。「1週間前から」という表現があります。これは1周間前からずっとという意味でしょう。もやもや病は過ずっと症状が続く病気ではありません。笛を吹いた時やラーメンをフーフーしたときに起こります。

今回、椎骨動脈造影をしていますので、椎骨動脈の病変であることが分かります。冒頭に説明しましたが、もやもや病は内頚動脈が病変部位です。椎骨動脈ではありません。

以上からもやもや病ではなく脳動静脈奇形であることが分かります。

 

もやもや病の病歴

もやもや病の病歴は以下のような感じです。

第99回医師国家試験G43より改変

9歳の女児。右上下肢の脱力発作を主訴に来院した。半年前から2週間に一度ほどの頻度でフルートの練習中に右上下肢の脱力をきたし、 それが30分ほどで軽快していた。左内頚動脈造影を次に示す。

もやもや病の血管造影

 

症状はフルートの練習中であり、過換気の状態ですね。 しかも、ずっと症状が続いているわけではありません。さらに内頚動脈が病変部位です。

これがもやもや病の典型例です。病歴重視だと非常に分かりやすいですよね。画像で見分けがつきづらかったらその読影にこだわるのではなく病歴や他の所見から病気を考えるようにしましょう。 

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