もやもや病と脳動脈奇形との見分け方 〜病歴を重視しよう〜【100A46、99G43】

コウメイ:読者の方から「もやもや病と脳動脈奇形との見分け方」について質問をいただきましたので回答します。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

医師国家試験100A46

6歳の女児。1週前から頭痛と嘔吐とが出現し、歩行時ふらつくようになってきたため来院した。右上下肢に運動失調を認める。頭部単純MRIのT1強調像(A)と右椎骨動脈造影側画像(B)とを別に示す。

医師国家試験100A46_画像A_脳動静脈奇形の頭部MRI
A
医師国家試験100A46_画像B_脳動静脈奇形の椎骨動脈造影
B

診断はどれか。

a 髄芽腫
b 星細胞腫
c 脳動脈瘤
d もやもや病
e 脳動静脈奇形

この問題に対し以下のような質問を持ったようです。

読者からの質問

もやもや病と脳動脈奇形との見分け方がいまいち理解できません。例えば100A46の問題の脳血管造影の画像などですが、脳動脈奇形のnidusという所見が、もやもやしているようにも見えてしまいます。この2つの疾患をうまく整理して理解できるコツがございましたらご教授ください。

そもそも、もやもや病って何でしょうか? 「血管がもやもやしている病気」と思われた方は本質が分かっていません。この際にきちんと勉強しましょう。

目次

1)もやもや病とは両側の内頚動脈が閉塞した病気

もやもや病とは両側の内頚動脈が閉塞した病気です。

画像_もやもや病の病態

もやもや血管は、閉塞した血管を補うために生じた側副血行路です。あくまで結果です。病気の本質は内頚動脈の閉塞です。

2)画像信仰主義はダメ!! 〜病歴を重視しよう〜

画像(血管造影、CT、MRI、心電図、エコー)が出てくる問題で画像のみから診断しようとするのはダメです。病歴を重視しましょう。

もやもや病

特に小児では笛を吹いた時やラーメンをフーフーしたときに症状が起こるのが特徴です。

脳動静脈奇形

特に誘引はなく脳出血、クモ膜下出血、痙攣を来します。

3)脳動脈奇形の病歴

以上を頭に入れた上で、100A46を考えてきます。もやもや病でしょうか?脳動静脈奇形でしょうか?

もやもや病が小児で発症するとしたら、過換気による脱力が症状です。今回そのような所見はありません。「1週間前から」という表現があります。これは1周間前からずっとという意味でしょう。もやもや病は過ずっと症状が続く病気ではありません。笛を吹いた時やラーメンをフーフーしたときに起こります。

今回、椎骨動脈造影をしていますので、椎骨動脈の病変であることが分かります。冒頭に説明しましたが、もやもや病は内頚動脈が病変部位です。椎骨動脈ではありません。

以上からもやもや病ではなく脳動静脈奇形であることが分かります。

4)もやもや病の病歴

もやもや病の病歴は以下のような感じです。

医師国家試験99G43

9歳の女児.右上下肢の脱力発作を主訴に来院した.半年前から2週に一度ほどの頻度で,フルートの練習中に右上下肢の脱力をきたし,それが30分ほどで軽快していた.生来健康であった.意識は清明.身長133cm,体重30kg.体温36.4℃.血圧120/74mmHg.皮膚色は正常.貧血と黄疸とはない.胸部でラ音を聴取しない.腹部は平坦で,肝・脾を触知しない.下肢に浮腫を認めない.神経系の診察で明らかな異常を認めない.頭部MRIで異常を認めたので入院の上,脳血管造影を施行した.頭部単純MRIのT2強調像(A)と左内頸動脈造影側面写真(B)とを次に示す.

医師国家試験99G43_画像A_もやもや病の頭部MRI
A
医師国家試験99G43_画像B_もやもや病の血管造影
B

考えられるのはどれか.

症状はフルートの練習中であり、過換気の状態ですね。 しかも、ずっと症状が続いているわけではありません。さらに内頚動脈が病変部位です。

これがもやもや病の典型例です。病歴重視だと非常に分かりやすいですよね。画像で見分けがつきづらかったらその読影にこだわるのではなく病歴や他の所見から病気を考えるようにしましょう。 

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