心室頻拍の心電図

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:今回は心室頻拍について勉強していきます。今まで説明してきたように、覚えるべきは心電図ではなく病態です。というわけで、まずは心室頻拍の病態を見ていきましょう。

心室頻拍の病態

正常なら心臓を動かす命令は洞結節から出て、「心房⇒房室結節⇒ヒス束⇒右脚・左脚⇒プルキンエ線維⇒心室」と伝わりますが、心室頻拍はこの命令が速いペースで心室から出ている病気です。

心室頻拍の病態

学生C:心室細動も心室から命令が出ていますよね。どう違うんですか?

 

コウメイ:いい質問ですね。そこが心電図を考える上で大事になってきます。心室細動は心室の至るところで命令が出ていますが、心室頻拍は心室の1か所から一定のリズムで命令が出ています。ここまでの病態から、心電図はどのようになりそうか考えてみましょう。

 

学生C:心室が速いペースで収縮するのでQRS波がたくさん見られそうです。

 

コウメイ:その通りです。一方、心房は洞結節からの命令で収縮しているので、正常なP波が見られそうですが、たくさん存在するQRS波と重なって、どこにあるか分からなくなります。結局、QRS波のみが見られる心電図になります。次にどのようなQRS波になるか考えてみましょう。

 

学生C:「どのような」って、QRS波にいくつか種類があるんですか?

 

コウメイ:はい。QRS波には「幅の狭いQRS波」と、「幅の広いQRS波」の2種類があります。

 

幅の狭いQRS波と幅の広いQRS波

コウメイ:正常な命令は洞結節から出て、「心房⇒房室結節⇒ヒス束⇒右脚・左脚⇒プルキンエ線維⇒心室」と伝わるのは何度か説明しました。この経路は命令専用なので、めちゃくちゃ速いです。

ところで、QRS波は心室に命令が伝わることを意味するのでしたよね。よって、心室が素早く収縮すると、QRS波が見られる時間も短くなります。つまりQRS幅が狭くなります。これが正常です。

狭いQRS波

 

一方、心室頻拍は心室のある部分から命令が出て「心室の一部⇒心室の一部⇒心室の一部⇒心室の一部」と伝わります。

心室頻拍の病態

心室は収縮するのが主の目的であり、本来命令を伝えるものではありません。ですので、命令の伝わりはゆっくりです。命令の伝わりがゆっくりだと、全ての心室に命令が伝わるのに時間がかかります。その結果、QRS波が見られる時間は長くなります。つまりQRS幅が広くなります。こちらは異常です。

広いQRS波

 

QRS幅の狭い、広いの基準

学生C:QRS波には狭い、広いの2種類があることと、そのメカニズムは分かりました。ところで、QRS幅が狭い、広いの基準ってどうなっているんですか?

 

コウメイ:よい質問ですね。正常値はとりあえず全て覚えるのではなく、今回のように疑問に思ったり、必要になったときに覚えるのがいいです。

心電図をよ〜く見るとマス目がかいてあります。このマス目3個未満が狭い3個以上が広いとなります。

※マス目が2.9個、3.0個、3.1個など微妙なものは出てきませんので、境界についてあまり神経質になる必要はありません。

 

心室頻拍の心電図

コウメイ:今までの説明をまとめると、心室頻拍の心電図は

  • 幅の広い(マス目3個以上)QRS波が
  • 一定のペースで
  • たくさん見られる

のが特徴となり、下のようになります。

心室頻拍の心電図

 

学生C:なるほど、こういう機序であのような心電図になるのですね。

 

コウメイ:はい。心電図所見は覚えるものではなく、病態から考えるものと言ってきた意味が分かってきたでしょうか?

 

学生C:何となく分かってきた気がします。早く他の病気についても病態から心電図所見を考えられるようになりたいです!!

 

コウメイ:おっ、やる気が出てきていい感じですね。このように病態重視で考えていくと、勉強が楽しくなりますよ。

次回は心静止について説明していきます。
心静止の心電図