もやもや病の本質 | 症状がでるのは左?右?

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:読者の方から「もやもや病では右半身と左半身のどちらに症状が出るのか?」との質問をいただきましたので回答します。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

第96回医師国家試験A42

9歳の男児,今朝から右半身の動きが少なくなり、母親に連れられて来院した。3歳から啼泣時に左上下肢の動きが悪いことに母親は気付いていたが放置していた。来院時、意識は清明。項部硬直はみられない。右半身の不全麻痺と感覚鈍麻とを認める。

最も考えられるのはどれか。

  1. もやもや病
  2. Leigh症侯群
  3. 多発性硬化症
  4. 重症筋無力症
  5. 副腎白質ジストロフィー

答え:a

 

この問題に対し以下のような疑問を持ったようです。

読者からの質問

既往歴では左半身に症状が出ているのに、診察時は右半身に症状が出ているのはなぜでしょうか?問題集の解説には

  • 啼泣時に左上下肢の動きが悪い→もやもや病
  • 右半身の不全麻痺と感覚鈍麻→左脳の病変

と書かれていました。これは右内頚動脈に狭窄あるいは閉塞があり、かつ左脳に別の病変があるということでしょうか?

自分は「左右両方の病変があるので脳幹動脈に病変部位があるのでは」とも思ったのですが、その場合病変部位よりもやもや病ではないことになります。解答よろしくお願いします。

 

コウメイ:もやもや病については以前解説したことがありますのでまずはこちらをご覧ください。
もやもや病~どの血管が悪い?~

 

もやもや病とは

もやもや病ってなんでしょうか?「もやもやした血管がある病気でしょ!!」と思っている方は先ほどの記事か教科書をしっかり読むのがいいです。

もやもや病とは両側の内頚動脈が閉塞する病気です。

もやもや病、病態

 

 

 

 

 

 

 

その結果、代償的に側副血行路が発達し、それがもやもや見えることからもやもや病という病名になりました。もやもや血管はあくまで結果であり、病気の本質は両側の内頚動脈の閉塞です。片側ではありません。両側ですので、ここもしっかり覚えてください。

両側の血管が閉塞する病気ですので、症状は左にも右にも起きる可能性があります。もちろん両側に起きることもあります。どちらに起きるかは、血管の閉塞の程度や収縮の度合いによって異なりますので、日によって違うということも起こりえます。

血管の太さは常に一定ではありません。一定の血流が流れるよう状況に応じ、収縮、拡張しています。

 

本患者ではどうか?

本患者はもともとは左上下肢の動きが悪かったようですね。ということは右側の血管の閉塞が強かったのかもしれません。しかし、左側も血管の閉塞も進みますから、今回、右半身にも症状が起きたと考えられます。左脳に全く別の病気(例えば脳腫瘍)が起きた可能性もありますが、確率としては低いと思います。

 

問題集の解説は参考程度に

私も問題集の該当ページを読んでみました。質問者が仰る通り

  • 啼泣時に左上下肢の動きが悪い→もやもや病
  • 右半身の不全麻痺と感覚鈍麻→左脳の病変

と書かれていますが、あまり納得のできる解説ではありませんね。「左脳の病変って何?」と思われる方が大半なのではないでしょうか。それを詳しく知りたいのに一切書いていません。あまりいい解説とは言えませんね。

問題集の解説は絶対に正しいわけではありません。間違っていることもあります。解説は参考程度に読むのがいいです。

「じゃ、何を信じればいいのか?」と思われる方がいらっしゃるかと思いますが、信じていいのは厚生労働省の発表教科書です。もちろんこの2つも100%正しいわけではありませんが、過去問の解説書よりは信憑性が高いです。

解説書で「ちょっとおかしいな」とか「納得できない」と思われた際は必ず教科書で確認することをお勧めします。少し脇道にそれましたがこれで解説は終わりです。