1-3 心電図を読むための基礎知識【ブログ版 これだけ心電図】

※本記事は連載「これだけ心電図」の一部です。こちらが目次へのリンクになりますので一番初めから読むことをお勧めします。

コウメイ:今回は心電図を読むための基礎知識について説明していきます。

目次

1)必要でない基礎知識

心電図の本を見ると初めの方に下のような説明が書いてあることがあります。

心電図_静止膜電位

はっきり言って心電図を読むのにこの知識は必要ありません。ある程度心電図を勉強し、より深く知りたい場合や、心電図の発展のためには必要な知識ですが、医大生が知らなければいけない必須の知識ではありません。少なくとも国試を解くのには必要ありません。

2)正常な形と名前 〜初めは細かいことは気にしない〜

下が正常な波形です。あまり細かいことは気にしなくていいので、これが正常であるのを頭に入れましょう。

これだけ心電図p10_画像_正常心電図
画像:これだけ心電図 p10, 日本医事新報社

波にはそれぞれ名前がついています。

  • P波:小さい丸い波
  • Q波:R波の前の下向きの小さい波
  • R波:上向きの大きな波
  • S波:R波の後の下向きの小さい波
  • T波:やや大きい丸い波

覚えるべきは以上です。Q波、R波、S波はまとめてQRS波と呼ばれます。A波、B波、C波、X波、Y波、Z波などはありません。

3)刺激伝導系

画像:これだけ心電図p11, 日本医事新報

心臓はただ収縮しているのではありません。洞結節からの命令が伝わって収縮します。この命令は適当に伝わっているのではなく、きちんとした経路(刺激伝導系)を通って伝わります。

洞結節 ⇒ 心房 ⇒ 房室結節 ⇒ ヒス束⇒ 左脚・右脚 ⇒ プルキンエ線維 ⇒ 心室

4)波の意味

波の意味も覚えましょう。難しそうですが、とりあえず以下の知識で大丈夫です。

  • P波:心房に命令が伝わり、筋が興奮し収縮する
  • QRS波:心室に命令が伝わり、筋が興奮し収縮する
  • T波:心室が再分極する

以上3つなのですが、T波はそれ程重要ではないので

  • P波:心房の収縮
  • QRS波:心室の収縮

この2つを覚えておけばOKです。

以上が心電図を読む際の必須の知識ですがいかがでしたか?そんなに難しくはないですよね。

5)細かい正常値は必要なときに確認する

「ここまでは理解しましたが、P波の高さや幅、PQ時間やQT時間などは覚えなくていいんですか?」

と気になっている方が多いかと思います。始めから細かい正常値を気にする必要はありません。現時点で正常値を知っても、役に立たないしつまらないです。必要なときに必要なものを覚えていくのがよいです。このブログを読んでいけば自然と身につくので安心してください。

細かい正常値を覚えるよりは、よく見る重要な心電図の勉強にとりかかる方が先です。というわけで、次回から重要な心電図の勉強を始めたいと思います。

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