大動脈解離で造影剤は使用してよいのか?

コウメイ:読者の方より「大動脈解離のときに造影剤は使用してよいのか?」との質問をいただきましたので回答します。

読者からの質問

大動脈解離を疑ったときに造影剤を使用しても良いのでしょうか?造影剤漏出による腹膜炎が心配です。 緊急性が高いので腹膜炎のリスクを負ってでも造影をして診断する必要性が高いということでしょうか。

造影剤の使用について勘違いしている方も多いので、再度詳しく説明していきますね。

目次

1)造影剤には「経口用」と「静注用」とがある

造影剤は大きくわけて2種類あります。経口用静注用です。

経口用造影剤はバリウムが有名ですね。静注用(造影CT、造影MRI)造影剤はこんなのを使います。生食などでライン確保をし側管から静注します。

2)経口用造影剤(特にバリウム)は漏れてはいけない

経口用造影剤はと静注用造影剤との決定的な違いは漏れてもよいかどうかです。経口用造影剤(特にバリウム)が漏れるとすれば消化管からですが、消化管から漏れた場合中々吸収されずに腹膜炎になってしまいます。よって、

消化管穿孔(疑い)の人にバリウムは使いません。

3)静注用造影剤は漏れても大丈夫

一方、静注用造影剤は漏れるとすれば血管からですが、血管から漏れても大丈夫です。もちろん、多少は悪影響があるのかもしれませんが心配するほどではありません。造影剤を使用すると血管が非常に見やすくなり、メリットの方が大きいです。よって、

大動脈解離や大動脈瘤を疑った場合は必ず造影CTをとってください。

単純CTとは比べ物にならないほどよく写ります。

※血管病変に限らず造影CTをとるときは比較のために単純CTもとってください。

以上で終わりですが、今まで何となく造影剤は危ない、禁忌と考えていた方、どういうときはダメでどういうときは使うべきか理解できたでしょうか。

こちらも参考になります。ぜひ読んでみてください。

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