コウメイ:「穿孔に造影剤は禁忌」と思っている方が多いのですが、本当にそうでしょうか。短絡的にではなくきちんと考えてみましょう。 まずは国試の過去問を見てみます。
a 上部消化管バリウム造影
b 排泄性胆道造影
c 内視鏡的逆行性胆管膵管造影〈ERCP〉
d 腹部造影CT
e 超音波内視鏡
1)造影CTの造影剤は消化管から漏れる?
「たしか穿孔のときは造影は禁忌だったような・・。そうするとa、b、c、dは禁忌だな。だから正解はeの超音波内視鏡だろう」
このように思っている方はいませんか?それは間違いです。正解はdの腹部造影CTです。造影CTでfree airがないか確認します。
「そうは言っても、穿孔した部分から造影剤が漏れるからやはり禁忌だと思います」
と納得できない方がまだいるかもしれないのでもう少し詳しく説明していきます。造影CTの造影剤はどうやって入れるか知っていますか?バリウム検査のように飲むことはしません。
※消化管穿孔の場合、バリウムを飲んでしまうと消化管から漏れ腹膜炎になるのでバリウム検査はしません。
造影CTは造影剤を飲むのではなく静注します。消化管から漏れることはなく、腹膜炎が起こることはありません。
2)腹部CTは造影剤を使用する
「バリウムと造影CTの違いについては分かりました。でも、なぜ造影CTなのですか?単純CTではダメなのですか?」
と思っている方もいらっしゃるでしょう。臨床的に重要なのでぜひ覚えてほしいことがあります。それは、
腹部CTは造影剤を使用しないと見づらい
ということです。よって、アレルギーや腎機能低下がなければ基本的に腹部CTは造影剤を用いて行います。皆さんも研修医になって腹部CTをオーダーするときは造影CTを行うようにしましょう。
※頭部と胸部は単純CTが基本です。腹部造影CTを行うときは比較のために単純CTも一緒に行います。
※特にeGFRが30mL/分/1.73m2以下の場合は造影剤は使用しないのが一般的です。
以上、穿孔と造影剤使用について勉強しました。こちらも参考になりますのでぜひご覧ください。