コウメイ:人工透析について質問をいただいたので回答します。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。
医師国家試験107B7
我が国の慢性透析患者の近年の傾向で正しいのはどれか。
a 腎移植数は減少に転じた。
b 5年生存率は低下している。
c 死亡原因として感染症の比率が増加している。
d 糖尿病性腎症による透析導入数は減少している。
e 糖尿病患者と非糖尿病患者との間で5年生存率に差がない。
正解(クリック)
この問題に対して以下のような疑問を持ったようです。
読者からの質問
「感染の比率は増加している」とありますが、医学が進歩しているのにこうなるのは大変違和感を覚えます。以前のブログで、時代背景なども考慮に入れて問題を解くこととありましたが、時代と逆行している気がします・・。
目次
1)糖尿病患者は感染症にかかりやすい
この問題は時代背景に逆行しているわけではありません。時代背景に合っています。1番のポイントは糖尿病患者の増加です。食生活等の変化や高齢化で糖尿病が増えているのは有名かと思います。糖尿病患者が増えているので、糖尿病が原因の透析患者も増えています。
※年齢は糖尿病のリスク因子の一つですので覚えておくとよいです。
透析の有無に限らず、糖尿病患者は感染症にかかりやすいです。透析で血管に針を刺すことがあると尚更リスクが高くなります。よって、透析患者で感染症の比率が増加しているのです。
2)【受験テクニック】マイナスなイメージの選択肢は正解になりにくい
ここから受験テクニックのお話です。例えばbの「5年生存率が低下している」という、マイナスイメージを持つような選択肢は正解にはなりにくいです。
もし、これが正解なら「医師はきちんと治療しているのか?」ということになります。厚生労働省が国家試験でわざわざそんな内容を正解にするメリットはありません。医学とは関係ありませんが、こういうのも頭に入れておくといいと思います。