【第1話】とても分かりやすいMRIの話 〜T1強調画像、T2強調画像とは?〜

コウメイ:「とても分かりやすいMRIの話」シリーズの第1話です。全4話になっております。順番通りに読むことをお勧めします。 

全4話です

第1話:とても分かりやすいMRIの話 〜T1強調画像、T2強調画像とは?〜・・・今回

第2話:とても分かりやすいMRIの話 〜FLAIR、拡散強調画像(DWI),T2*とは?〜

第3話:とても分かりやすいMRIの話 〜FLAIRはT1?T2?〜

最終話:とても分かりやすいMRIの話 〜まとめ〜

もともとは、読者の方からMRIについて質問をいただいたのがきっかけでこのシリーズが始まりました。その質問を見てみましょう。

読者からの質問

放射線科の授業で、水分はT1で低信号、T2で高信号、脂肪成分は…、など習いましたが、それらを全部覚える必要はあるのでしょうか?T1は解剖学的な構造、T2では病変が分かるとはよく聞きますが、なぜそうなのかもよくわかりません。

また、婦人科をまわっていて、T2強調を使うことが多いということも聞きましたが、理由がわかりませんでした。 なにかポイントがあれば教えていただけますでしょうか。

「どこまで覚えるか」はこれはMRIに限らずどの分野でも大事な考えです。

ある程度深く勉強することは大事ですが、深く勉強し過ぎることは問題です。時間がかかりすぎます。国試まで終わりません。いつも言っていますが、バランスが大切ですね。

今回はMRIの詳しい原理ではなく、学生の皆さんが何を覚えればいいのかに的を絞ってお話していきたいと思います。
これを読めば大分スッキリするはずです。

目次

1)T1強調画像、T2強調画像とは?

先程、詳しい原理は説明しないとお話しましたが、基本的な原理は理解すると今後の学習が大分楽になるので説明していきます。

MRIとは生体のプロトンを画像化することであり、特定のボクセル内にパルス状の電磁波でエネルギーを与え(共鳴)、電磁波の照射を停止してからのエネルギーの放出状態(緩和状態)を主として画像化する。電磁波はエネルギーであり、E=hv=hw/2π=hc/λ・・・

おそらく皆さんここで読むのを諦めるのではないでしょうか。私はこのような説明はしません。もっと分かりやすく説明していきますね。

2)動画で分かるMRIの原理

「分かりやすく説明しよう」と思ったのですが、MRIの原理について非常に分かりやすく解説しているサイトを見つけたのでこちらをご覧ください。

Adobe flashが必要であり、ChromeやSafariでは上手く見ることができません。Firefoxをご利用ください。

いかがでしたか?きちんと見ましたか?適当にクリックしませんでしたか?こういうのをきちんと見るひとは国試に受かると思います。

3)空気は白?黒?

それでは質問です。空気はT1で黒ですけど、T2ではどうですか?

T1で黒ならT2で白・・・。あれ、黒だ!!なぜですか???

このように思われるかもしれません。ここがMRIの分かりにくいところだと思います。なぜこんなことが起こるのか説明していきますね。

4)プロトンの密度

MRIとはプロトン(H+)のエネルギーを画像化したものでしたね。ということは、プロトンがなければエネルギーもありません。 プロトンがどの程度存在するかは物質によって違います。

脂肪
脂肪はめちゃくちゃプロトンがあります。だって、脂肪はCとHの塊ですからね。


水もそこそこプロトンがあります。水はHとOから成りますからね。

空気
空気はほとんどプロトンがありません。空気はOとNですからね。だから、T1でもT2でも黒になるのです。

このように、プロトンの密度と元の状態への戻りやすさによって白黒が決まります。物質によるプロトンの密度の違いや、元の状態への戻りやすさはある程度覚えるしかありません。

しかし、今回のことを理解すれば大分覚えやすくなったのではないでしょうか。少し長くなりましたので今回はこれで終わりにしたいと思います。

次回は、「T1、T2、T2*、FLAIR、拡散強調」について説明します。

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