血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)と巨核球 | 検査の必然性

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:hiroさんから血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)について質問をいただきました。まずは質問を見てみましょう。

読者からの質問

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)では血小板が消費されるため骨髄の巨核球は正常~増加と習いました。しかし、特発性血小板減少性紫斑病(TTP)の骨髄所見についての記述が見つかりません。TTPでも血小板が消費されるのは同じなので、巨核球は正常~増加と考えてよいのでしょうか?

 

コウメイ:結論から言うと、hiroさんの考えた通りでいいです。つまり、巨核球は正常~増加です。

以上で解説は終わりですが、ここで終わってもタメにならないので、もう少し補足したいと思います。

なぜあまりTTPについての記載がないのか?

TTPの骨髄所見については解決しました。しかし、なぜTTPの骨髄所見についてあまり記載がないか気になりますよね。

 

ITPとTTP

皆さん、ITPとTTPについてどのようなイメージをお持ちでしょうか。

 

学生B:どっちも血小板が減少する病気です。ま、大体一緒じゃないんすか?

 

コウメイ:学生B君のような考えだとなぜTTPの骨髄所見の記載があまりないかということを考えることはできません。きちんと勉強していきましょう。

 

ITPの病歴

ITPは紫斑や粘膜出血が見られることもありますが、検診でたままたま見つかることもある、比較的経過のゆっくりした病気です。それほど重篤感はありません。

このような経過をたどる病気はいくつかあり、骨髄で巨核球が作られない病気(白血病、再生不良性貧血など)も鑑別にあがります。それらと区別するために骨髄穿刺し、巨核球がどうなっているか確かめることがあります。骨髄所見は診断に有用です。一方、TTPの病歴はもっと派手です。

 

TTPの病歴

比較的急速に血小板減少、血管内溶血、発熱、精神神経症状腎障害が起こります。重篤感がありますね。実際、治療法が確立する前は死亡率が80%以上でした。こんな病気他にあるでしょうか?私は思い浮かびません。

このようにTTPは病歴と末梢血の検査でほぼ診断がつくため骨髄所見の有用性があまり見当たりません。

 

学生B:別に検査してもいいんじゃないですか?

 

コウメイ:まぁ、医学の発展のために研究目的で骨髄を調べてもいいんですけど、骨髄穿刺って採血みたく簡単に行えるものではありません。実際に、見てみましょう。

いかがでしたか?難しそうと感じてもらえたでしょうか。少なくとも研修医が日常的に行う手技ではありません。

 

TTPの治療は血漿交換

TTPの患者さんは血漿交換を行っています。そんな状態の患者さんから骨髄穿刺を行うのはさらに大変です。もちろん、診断に絶対に必要な検査ならしますが、そうではないのにこのような大変な検査をする医師は基本的にいません。だから、TTPの骨髄所見のの記載があまりないのです。

※TTPかどうか迷う状態もあるので、その時は骨髄穿刺を行うときがあります。そのため巨核球は正常~増加であることが分かっています。

このように検査とは必要性があり、検査できる状態のときに行うものなのです。何となく気になるからといって検査を行うことはありません。何となく気になるからといって検査をしてしまうような医者にはならないでくださいね。

今後、国試の勉強をしていくと今回のように検査が気になるけど、教科書などに記載がない事が多々あるかと思います。その際、なぜ検査が気になるかよ~く考えて見てください。

「国試に出たら困るから」もしこのようにお思いの方がいたら考えなおしたほうがいいです。実際の医者はそんな考えで検査をしていません。

もし、よ~く考えて、「やっぱり必要だ」と思われたらそれは本当に必要な検査だと思います。マンパワーの都合で行えていなかったか、誰もが思いつかなかった画期的な検査かもしれません。医者になったらぜひ調べて論文にしてください。

TTPの骨髄所見とは直接関係のないことも説明しましたが、これで説明は終わりです。