急性肺血栓塞栓症のリスクファクターは? 〜良い解説とダメな解説〜【107A4】

コウメイ:本日は107A4の問題(急性肺血栓塞栓症)を例に良い解説とダメな解説について説明します。まずは問題を見てみましょう。

医師国家試験107A4

急性肺血栓塞栓症のリスクファクターでないのはどれか。

a るいそう
b 長期臥床
c 悪性腫瘍
d プロテインC欠乏症
e 中心静脈カテーテル留置

目次

1)ダメな解説

以下は某解説書にあったダメな解説です。

正解:a

解説
a:肥満がリスクファクター。
c:血液凝固能亢進のためリスクファクターである。
d:血液凝固能亢進のためリスクファクターである。

そもそもこれは解説ではありません。なぜ肥満がリスクファクターになるのか、なぜ悪性腫瘍やプロテインC欠乏だと血液凝固能が亢進するかが大事であり、それを説明していないものは解説とは言いません。本ブログではきちんと解説していきます。

2)良い解説

a るいそう

るいそうではなく肥満が正解です。肥満では周りの脂肪で血管が圧迫されています。そのため血液の流れが悪くなり、血栓ができやすくなります。

b 長期臥床

人は動かないでいると血液の流れが悪くなります。エコノミークラス症候群なんかがいい例です。そして血液の流れが悪いと血液は固まりやすくなります。心房細動がそうですね。長期臥床では動かないので血栓ができやすくなります。

c 悪性腫瘍

悪性腫瘍は組織因子(FⅢ)を分泌することが知られています。組織因子といえば血液凝固因子の一つですよね。そのため血液凝固能が亢進し、血栓ができやすくなります。癌による血液凝固亢進による脳梗塞はトルソー症候群と呼ばれ臨床でしばしば経験しますので覚えておくとよいです。

d プロテインC欠乏

プロテインCは血液凝固因子のFⅤとFⅧを分解する物質です。よって、プロテインC欠乏ではFⅤとFⅧが分解されにくいため血栓ができやすくなります。ちなみにプロテインSはプロテインCの補酵素ですので、プロテインSが欠乏しても血栓ができやすくなります。

e 中心静脈カテーテル留置

中心静脈カテーテルに限らず、血管内に異物があると血栓ができやすくなります。留置針やガイドワイヤー、機械弁、ステントなどがそうです。そのためヘパリンやワーファリンが必要です。

以上が良い解説です。ダメな解説との違いが分かっていただけたでしょうか。

3)補足:早め早めに勉強しましょう

このように「きちんとした勉強」をしようとするとそこそこ時間がかかります。4年生や5年生のうちから早めに勉強を始めることをおすすめします。

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