肺胞蛋白症のメカニズム

最終確認日:2017/07/28 最終更新日:2017/07/28

コウメイ:なぜ肺胞蛋白症では肺胞に蛋白がたまるのでしょうか?今回はそのメカニズムについて説明していきます。まずは問題を見てみましょう。

第105回医師国家試験I63

60歳の女性。1か月前からの労作時の息切れを主訴に来院した。6か月前から咳嗽を自覚していた。
体温36.7℃。呼吸数20/分。脈拍92/分、整。血圧138/76mmHg。
聴診で両側下肺野にfine cracklesを聴取する。

血液所見:赤血球420万、Hb14.2g/dl、Ht42%、白血球5800、血小板28万。
免疫学所見:CRP0.3mg/dl、CEA2.3(基準5以下)。生化学所見:異常なし。

肺胞蛋白症 肺胞蛋白症 肺胞蛋白症

治療として適切なのはどれか。

  1. 利尿薬の投与
  2. 抗癌化学療法
  3. ペンタミジンの投与
  4. 全身麻酔下での全肺洗浄
  5. ニューキノロン系抗菌薬の投与

 

学生B:病気は肺胞蛋白症で治療は dの全身麻酔下での全肺洗浄だと思います。

 

コウメイ:正解です。気管に水が入るのはかなり苦しいので全身麻酔下で行います。ところでなぜ肺胞に蛋白がたまるか知っていますか?

 

肺胞にたまる蛋白の正体

コウメイ:蛋白は実はサーファクトなんです。つまり肺胞にサーファクタントがたまっているのです。

 

学生B:サーファクタントってⅡ型肺胞上皮から分泌されるやつですよね?

 

コウメイ:そうです。それです。肺胞がつぶれてしまうのを防ぐ、重要な物質です。Ⅱ型肺胞上皮から産生され、肺胞マクロファージで処理されます。本症では肺胞マクロファージの分化がうまくいかないため処理しきれず、サーファクタントがたまってしまうのです。

 

学生B:なぜ分化がうまくいかないのですか?

 

なぜサーファクタントがたまる?

コウメイ:肺胞マクロファージは単球にGM-CSFという物質が作用することで分化するのですが、本症ではこのGM-CSFに対する抗体ができてしまうのです。

 

学生B:なるほど~。知りませんでした。じゃ、そのGM-CSFを投与すれば治療できるのではないですか?

 

コウメイ:いい考えですね。その通りで海外ではGM-CSFが治療に用いられています。ただ、日本では未承認です。

※未承認なので国試にはでないと思います。

 

学生B:なるほど~、勉強になります。面白いですね。

 

コウメイ:そうなんです。病態重視の勉強って 面白いんです。今後も面白いと言ってもらえるような解説をしていきますね。今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)