褐色細胞腫の症状に起立性低血圧があるがαブロッカーを使用してよいのか?

コウメイ(@kokusigokaku):読者の方から褐色細胞腫の治療について質問をいただいたので回答します。

読者からの質問

血管が拡張してしまうので、起立性低血圧にαブロッカーは使わないと習いました。しかし褐色細胞腫の治療はβブロッカー単独投与は禁忌でαブロッカーを併用もしくは単独投与するとあります。褐色細胞腫の症状に起立性低血圧があるのですが良いのでしょうか。

 

褐色細胞腫で起立性低血圧が起こる理由

褐色細胞腫は血管が収縮しており普段は血圧が高いのですが、起立性低血圧が起こることがあります。なぜでしょうか?

血管が収縮しているということは、血管の容積が小さいということであり循環血液量が少ないことを意味します。血圧は

血圧=心拍出量 × 末梢血管抵抗

の式で求められますが、起立時は重力の関係で下半身に多く血液がたまり、心臓へ戻る血液量が減ります。その結果、心拍出量が減ります。

正常な人では血管を収縮させ(末梢血管抵抗を上げ)血圧を維持します。しかし、褐色細胞腫の患者は普段から目一杯血管を収縮させているのでそれ以上収縮させることができません。かつ循環血液量が減っているので、心拍出量の低下が顕著になります。このため起立性低血圧が起こりやすいのです。

αブロッカーを使うメリットとデメリット

αブロッカーは血管を拡張させる作用があるので、起立性低血圧が起こることがあります。褐色細胞腫の患者に使用していいのでしょうか?

もちろん起立性低血圧だけを考えればαブロッカーは好ましくありません。しかし、それを気にしてαブロッカーを使わないとかなり血圧が上がってしまいます。そちらの方が好ましくありません。αブロッカーを使うメリットの方が大きいので使用します。

αブロッカーは徐々に増量する

αブロッカーは投与するけど起立性低血圧も避けたい。ではどうすればいいのかというと、αブロッカーの量を少しずつ増やせばいいのです。αブロッカーを少しずつ増やせば、血管は徐々に弛緩し、循環血液量も徐々に増えるので起立性低血圧は起こりにくくなります。

【補足】褐色細胞腫のCT画像

質問に対する回答は以上で終わりですが、最後に褐色細胞腫のCTを確認しましょう。慣れていないと白い部分(青矢印)に目がいきますがそれは正常な腎臓です。腎臓は血流が多いため造影CTでhigh densityになります。ピンク矢印が褐色細胞腫です。

【107D33】褐色細胞腫のCT