髄液検査の禁忌 〜腫瘍、脳出血、うっ血乳頭〜【102G51】

コウメイ:髄液検査について質問をいただいたので回答します。まずは質問の元になった医師国家試験の過去問を見てみましょう。

医師国家試験102G51

60歳の男性。意識障害のため搬入された。5日前から頭痛、嘔吐および発熱を訴えていた。意識は混濁。体温38.2℃。項部硬直を認める。顔面筋と四肢筋との麻痺はない。深部腱反射は正常で、病的反射は認めない。脳脊髄液所見:外観は軽度キサントクロミー。初圧200mmH2O(基準70~170)。細胞数250/μL(すべてリンパ球)(基準0~2)。蛋白180mg/dL(基準15~45)。糖25mg/dL(基準50~75)。

結核性髄膜炎を考えたが、その有力な根拠になる髄液所見はどれか。2つ選べ

a 外観
b 初圧値
c 細胞の数と種類
d 蛋白値
e 糖値

この問題に対して以下のような疑問を持ったようです。

読者からの質問

髄液検査は頭蓋内圧が高いときは禁忌だと思いますが、国試の過去問(102G51)で初圧が高いのに髄液検査をしています。この程度の圧なら検査しても良いのですか?

目次

1)髄膜炎では髄液検査します

確かに禁忌でないか気になりますよね。結論から言うと、髄膜炎ではやや脳圧が亢進しても検査します。脳ヘルニアのリスクはそれほど高くないのと、髄液検査をしないと治療法がはっきりしないので、髄液検査した方がメリットが大きいです。

2)腫瘍や出血があるときはダメ

では、どのようなときは髄液検査していけないかというと、腫瘍出血などのマスが原因で脳圧が亢進しているときです。CTで腫瘍や出血などがあり、うっ血乳頭があったら検査してはいけません。

うっ血乳頭は文字だけ知っていても意味がありません。画像を理解しましょう。視神経乳頭の輪郭がはっきりしないものをいいます。

うっ血乳頭

いや、輪郭は分かるだろ!!と思っている方。輪郭がはっきりしているとはこういうのをいいます。正常な視神経乳頭です。

正常乳頭

以上、髄液検査とうっ血乳頭について勉強しました。

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