コウメイ:読者の方から「対光反射」について質問をいただきましたので回答します。まずは質問を見てみましょう。
コウメイ:まずは問題を見てみましょう。
28歳の女性。自転車を運転中に乗用車と衝突。意識は昏睡。右眼のみを開瞼すると右瞳孔径は4mmで、同時に左眼を開眼しても右瞳孔径は変化しない。左眼のみを開瞼すると左瞳孔径は6mmで、同時に右眼を開眼すると左瞳孔径は4mmに変化する。
瞳孔異常の障害部位として最も考えられるのはどれか。
- 視交叉
- 左視神経
- 右後頭葉
- 左動眼神経
- 右外側膝状体
コウメイ:まず、左眼に光を当てたらどうなるか知っていますか。
学生A:左眼が縮瞳すると思います。
コウメイ:そうです。直接対光反射ですね。このとき実は右眼も縮瞳しているんです。これを間接対光反射といいます。
なぜ、両眼が縮瞳するか?
下の図にあるように左の視神経は左の動眼神経にも右の動眼神経にも情報を伝えるからです。
視神経は二股に分かれる
図を見て分かるように視神経は二股に分かれます。ここ大事です。このうちどちからひとつだけでも無事なら対光反射は起こります。対光反射が異常であった場合、どちらの経路も傷害されていることを意味します。
左眼のみを開瞼すると左瞳孔径は6mm
これは左目の左眼の直接対光反射が異常であることを意味します。左眼の直接対光反射が異常になるにはどこが傷害されている必要があるでしょうか。
二股の両方の経路が傷害されている必要があるので
- 左視神経(ピンク)
- 視交叉全体(赤)
- 両側中脳(茶)
- 左EW核、もしくは直前(黄)
- 左動眼神経(緑)
が傷害されている可能性があります。このなかのどれが悪いか絞り込んでいきましょう。
右眼のみを開瞼すると右瞳孔径は4mm
右眼の直接対光反射は正常であることを意味します。これは視交叉全体、両側中脳の傷害ではないことを意味します。すると残りは
- 左視神経(ピンク)
- 左EW核もしくはその直前(黄)
- 左動眼神経(緑)
となります。
右眼を開眼すると左瞳孔径は4mmに変化する
左眼の間接対光反射は正常です。これは左EW核もしくはその直前(黄)、左動眼神経(緑)は傷害されていないことを意味します。
というわけで左視神経が残りましたた。これが答えです。なかなか難しいですが慣れるまでは上の図を参考に地道に考えるしかありません。
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