肝硬変で低ナトリウム血症になる理由

最終確認日:2017/07/28 最終更新日:2017/07/28

コウメイ:読者の方からご質問をいただいたので回答します。今回は「肝硬変ではなぜ低ナトリウム血症になるのか?」です。まずは質問の元となった国試の過去問を見てみましょう。

 

【107回医師国家試験B36】

107B36  

 

コウメイ:正解は肝硬変症とAddison病ですが、肝硬変ではなぜ低ナトリウム血症(低Na血症)になるのでしょうか?
※Addison病で低Na血症になるのは基礎的事項なので、分からなかった方はすぐに教科書で確認することをお勧めします。

 

低アルブミン血症が原因?

学生C:「低アルブミン血症になるから」と問題集には書いてありました。

 

コウメイ:なぜ低アルブミン血症で低Na血症になるのでしょうか?

 

学生C:低アルブミン血症になると間質に水が漏れて、血管内の水分が少なくなるから・・

 

コウメイ:それだとNa血症になってしまいますね。

 

学生C: あ、血液の量が少なくなるからADHの働きが亢進するんですよ。その結果、水の再吸収が増加して低Na血症になるんです!!

 

コウメイ:その考えは一見正しいように見えますが、低アルブミン血症で間質に漏れた分の水分が補充されるだけで、低Na血症にはなりません。漏れた分以上の水分をじゃんじゃん再吸収する意味はありませんからね。

 

学生C:じゃ、なぜ低Na血症になるんだろ?

 

末梢血管拡張

コウメイ:以前は低アルブミン血症が原因と考えられていたのですが、最近は末梢血管拡張が原因と考えられています。肝硬変では門脈圧が亢進し、腸から肝への血流が悪くなります。そのため腸の血管は拡張し、血液がうっ滞します。

また、肝硬変になると体内の一酸化窒素(NO)濃度が上がります。NOは血管拡張作用がありますので、末梢血管が拡張し、そこに血液がたまります。

 

ADHの働きが亢進

この2つの影響で主要な動脈を流れる血液量(有効循環血液量)は減ります。その結果、RAA系とADHの働きが亢進します。
※RAA系は水とNa、ADHは水のみを再吸収します。

詳しい理由は分かりませんが、肝硬変では特にADHの働きが亢進するため、主にが再吸収され低Na血症になります。

以上が肝硬変で低Na血症になる理由です。