結核の診断 〜インターフェロンγ遊離測定法(IGRA)とPCRの使い分け〜【107I51】

コウメイ(@kokusigokaku):読者の方から結核の診断について質問をいただきました。第108回でも出題される可能性が高いのでしっかり理解しましょう。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

第107回医師国家試験I51

75歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。3週前から咳、痰、全身倦怠感、食思不振および37℃台の微熱が出現し、市販の総合感冒薬で改善しないため受診した。

胸部X線写真で右上肺野に空洞を伴う浸潤影と周囲の結節影とを認めた。喀痰の抗酸菌塗抹試験が陽性であったため患者を個室に入れた。

まず行うのはどれか。

  1. 保健所に届ける。
  2. 抗結核薬を投与する。
  3. 結核菌のPCR検査を行う。
  4. 患者にN95マスクを着用させる。
  5. 結核菌特異的全身インターフェロンγ遊離測定法<IGRA>を行う。
答え(クリック)

 

読者からの質問

PCRと結核菌特異的全身インターフェロンγ遊離測定法<IGRA>の使い分けはどうやってするのですか?

 

IGRAは血液を調べる

IGRAは簡単に言えば、血液検査です。結核が疑われる方から採血し、インターフェロンγの値を測定することで結核かどうかを判断します。

実際の臨床で「IGRA」という単語はあまり使われません。クォンティフェロンやT-SPOTといった商品名で呼ばれます。どちらか聞いたことがあるでしょう。

IGRAでは特別な採血管が必要になります。例えば、クォンティフェロン検査では左から陰性コントロール、陽性コントロール、TB抗原血漿の3本が必要です。

クォンティフェロン(IGRA)

PCRは痰を調べる

PCRについては皆さんご存知だと思いますが、を調べる検査です。血液ではありません。

以上を踏まえ本患者でIGRAとPCRのどちらを行うべきかを考えてみましょう。

IGRAとPCRの使いわけ

PCRを行う場合

本患者では喀痰の抗酸菌塗抹試験が陽性です。よって、

  • 結核
  • 非定型抗酸菌症

が考えられます。

IGRAについてより正確に言えば、結核菌を直接見ているわけではなく、IFN-γの量から結核がいるかを推定する検査になります。また、過去の感染でも陽性になります。一方、PCRは現在、痰に結核がいるか直接診断する検査法です。ですので痰がとれる場合はPCRを行います。

IGRAを行う場合

IGRAの適応は結核が疑われるけど痰がでないときです。具体的には

  • 家族が結核と診断されたが、自分はまだ症状がない
  • 結核患者と接触のある医療者

などです。より詳しくは以下の文献が参考になります。

https://www.kekkaku.gr.jp/pub/vol89(2014)/vol89no8p717-725.pdf

他の選択肢については以下の記事で解説しました。

抗酸菌染色 結核

抗酸菌塗抹検査陽性なら結核なのか? 〜結核 vs 非結核性抗酸菌症〜【103I49】

2013/03/30