国試は臨床の役に立たない? | モチベーションの上がる話

最終確認日:2017/07/27 最終更新日:2017/07/27

コウメイ:医師国家試験の過去問を勉強していて

  • 臨床の役に立たないんじゃね?
  • こんな病気聞いたことない。
  • こんな勉強して意味あるの?
  • 国試は重箱をつつく様な問題で困る。

このように思っている方いませんか?思っている方はぜひ今回の記事を読んでみてください。まずは、おのぴよさんからのメッセージをご覧ください。

読者からの質問

臨床における何かエピソードとか実際印象深かったことなどはありますか?教えていただると私にとっても将来のビジョンなどが見えてモチベーションが上がると思いますので、よろしくお願いします。

 

コウメイ:今回はモチベーションの上がるような記事を書いていきますね。ちょっと研修に慣れてきた、研修医のA先生にも登場してもらいます。

くも膜下出血の見分け方

コウメイ:もう救急外来の当直はやりましたか?

 

研修医A:やっていますよ。

 

コウメイ:頭痛を主訴に来院された患者が、クモ膜下出血かそうでないかどうやって見分けていますか?

 

研修医A:CTです。ヒトデ型の陰影が見られたらクモ膜下出血です。簡単ですよ!!

 

コウメイ:バットで殴られたような痛みではないか確認しないのですか?

 

研修医A:あ~、あの国試的な表現ですか。そんなこと確認するよりCT撮っちゃえばいいんですよ、CT!!

 

コウメイ:そうですか・・。A先生、初心に戻った方がいいかもしれませんね。以下は私が研修医だったころのエピソードです。

 

ある日の救急外来 | 頭痛の患者

walk inで来院

50歳台の男性がwalk inで来院されました。あまり重篤そうな印象はありません。

男性:頭が痛いんですけど。

 

コウメイ:いつからですか?

 

男性:3日前からです。近くの開業医に行って頭痛薬をもらったんですけど、 良くならないから来ました。

 

コウメイ:(そこそこ元気そうだし、薬ももらってるのかぁ。なぜわざわざ 救急外来に来たのかな?まぁ、万が一ってこともあるから丁寧に問診しよう)いつから痛くなったのですか?もう一度詳しく教えてください。

 

男性:3日前、草刈をして家に戻る途中急に痛くなりました。

 

コウメイ:突然だったのですね。

 

男性:はい、突然です。

 

コウメイ:(マジかぁ、ちょっとヤダなぁ)痛みの強さはどのくらいでした。10段階で教えてください。

 

男性:ん~、結構痛かったなぁ。その時は8か9位でした。

 

コウメイ:(もしや・・)バットで殴られたような痛みじゃないですか?

 

男性:その通りです。突然バットで殴られたような痛みがしました。それで近くの開業医に行って薬をもらったんですけどよくならなかったので今日来たんです。

 

コウメイ:(絶対にクモ膜下出血じゃん)すぐにCT撮りましょう。あっ、歩かないで。看護師さ~ん、ストレッチャー準備してください。

 

CTの結果は一見正常

すぐにCTを撮りました。ヒトデ型の陰影があるはずだと思ったのですが・・、CTは一見正常でした。

「そんなはずがない!!」と思ってよ~く見るとわずかにhigh dencity area(HDA)があるようなないような部分を発見しました。クモ膜下出血を疑っていなければスルーしそうな本当にわずかな所見でした。

出血かもしれないと思い脳外科医のS先生にコンサルトしました。「CTではかなり微妙なんですが、病歴からはクモ膜下出血を疑います。一緒に見ていただきたいのですが」

 

脳外科医S:分かりました。すぐに見に行きます。その間、造影CT(CT-angio)を撮っておいてください。

 

CT-angio | やっぱりくも膜下出血

S先生が到着後、一緒に造影CT(CT-angio)を見ました。すると、小さな動脈瘤が映っていました。先程のHDAの部分と一致します。やはりクモ膜下出血でした。 すぐに手術となり無事退院しました。

もし、国試で「バットで殴られたような痛み」という表現を勉強していなかったらおそらくCTを正常と判断し帰宅させ患者さんは亡くなっていたかもしれません。

この出来事で国試にでてくる表現、典型例を覚えることは大事なんだなぁと改めて思いました。A先生どう思いましたか?

 

研修医A:国試の勉強って大事だったんですね。初心に戻って、今まで勉強したことをしっかり臨床に活かしたいと思います。

 

私が今まで経験した疾患

学生時代は「こんなの覚えて意味あるのかなぁ」と思っていたけど、実際に働くようになってから「勉強していて良かった」と思うような症例はたくさんあります。実際に私が経験した症例を紹介します。

  • ある程度受け答えはするが、ぼーっとしている⇒側頭葉てんかん
  • 最近風邪気味だった。今はすごく息苦しい⇒心筋炎
  • 最近急にぼけたような⇒慢性硬膜下血腫
  • 痩せた中学生の胸痛⇒自然気胸
  • 熱っぽく腰も痛い⇒腎盂腎炎
  • 女性の声が聞こえる⇒統合失調症
  • 尿が赤かった⇒腎細胞癌
  • 全身に水泡⇒尋常性天疱瘡

などなど。これ以外にも国試にでてきた疾患をたくさん経験しました。

 

皆さんが経験していないだけ

先程説明した通り、学生時代の私は正直「こんな勉強して意味あるのかな。 国試は臨床にはあまり役に立たないっていうし・・。まぁ、医師免許をもらうためにしょうがないから勉強するか」と思っていました。

でも、実際に研修医になって働いてみると国試に出てきた症例をたくさん経験しました。国試の問題は決して重箱の隅をつつくようなものではなく実際に経験するものがほとんどです。

「聞いたことない、知らない、」と思っているのは井の中の蛙状態です。今思うと自分が知らなかっただけだったんだとちょっと恥ずかしくなります。今皆さんが勉強している病気は決して試験だけにでてくるものではありません。確実に臨床で経験します。

実際に経験しないとなかなかモチベーションが上がらないとは思いますが、皆さんが研修医として働くようになってから絶対に役に立ちますので頑張ってほしいと思います。

以上で説明は終わりですが、少しはモチベーションが上がったでしょうか?今後も私の実際の経験をふまえ、皆さんがあまり知らないような病気も身近に感じてもらえるような記事を書いていきますね。お疲れ様でした(^_^)