(7) 心房粗動の分類(通常型、非通常型)

※お陰様で「これだけ心電図」の重版(第4刷)が決定しました。感謝の意とより詳しい説明のため連載で記事を書くことにしました。本記事は連載の7回目になります。途中からでも理解できますが、初めから読むことをお勧めします。

(1) お礼と連載の説明
(2) これだけ心電図は難しすぎないか?
(3) これだけ心電図は簡単すぎないか?
(4) アーチファクト(ドリフト、交流障害、接触不良)
(5) 発作性上室性頻拍の分類(房室回帰性頻拍、房室結節リエントリー性頻拍)
(6) WPW症候群の分類(A型、B型、C型)
(7) 心房粗動の分類(通常型、非通常型)・・・本記事
(8) 不整脈原性右室心筋症(イプシロン波)
(9) 心電図検定の参考書として
(10) 効率の良い心電図の勉強法(お勧めの参考書)

コウメイ:前回はWPW症候群の分類を説明しました。「WPW症候群に分類なんてあるんだ?!」と思った方が結構いらしゃると思いますが、なんと心房粗動にも分類があります。

心房粗動の分類

WPW症候群をリエントリーの経路によって分類したように、心房粗動もリエントリーの経路によって分類されます。

通常型

三尖弁輪を回るものを通常型と分類します。通常型はさらに反時計方向に回るものと、時計方向に回るものに分類されます。
※普通なら「時計方向に回るものと、反時計方向に回るものとがある」と記載するのが一般的ですが、心電図の参考書やWebサイトを見るとほぼ全てで反時計→時計の順で記載されています。おそらくこれは反時計方向の方が頻度が多いからだと思います。
※下のイラストはかなり模式化したものであり、正確性に欠けます。ただし、心房粗動のリエントリーを解剖学的に正確に理解するのは結構労力を必要としますのでこの程度でよいかと思います。

非通常型

三尖弁輪以外(僧帽弁など)を回るものを非通常型と分類します。

心房粗動の分類を心電図で見分ける方法

いくつかの参考書やWebサイトと見ると下記のように記載しているものが多いです。
※前述したように、心房粗動のリエントリー経路を正確に理解するのはかなり大変です。そして、そこから心電図に結びつけるのはより大変です。「これだけ心電図」で心電図は「病態から考えらるべきもの」「暗記した方がよいもの」「その中間」があると説明しました。心房粗動の分類は暗記してしまうことをお勧めします。

通常型

【反時計方向】
Ⅱ誘導で陰性F波、V1誘導で陽性F波。

【時計方向】
Ⅱ誘導で陽性F波、V1誘導で陰性F波。

非通常型

上記以外(おそらくはっきりした基準はない)。

F波の陽性、陰性の定義

病態は難しいのですが、分類の仕方自体はそれほど複雑ではありません。Ⅱ誘導とV1誘導のF波を見ればいいだけです。しかし、ここで問題になるのはF波の陽性、陰性の定義です。色々と調べましたが、おそらくはっきりとした基準はないです。文献と見ていると以下のどちらかで分類しているのが多いようです。

  • QRS波の始まりとQRSの始まりを結んだ線(基線)よりF波が上にあれば陽性、下にあれば陰性
  • 角度が急な部分が上向きなら陽性、下向きなら陰性

この分類にきちんと当てはまるものもあれば、どちらとも言えないものもあります。「公式問題集&ガイドの問題54」は分類が難しいと思います。
※専門の方でコメントいただければ嬉しいです。

心房粗動の分類については、最低限のことは覚えあまり深入はしないのがよいかと思います。

次回:(8) 不整脈原性右室心筋症(イプシロン波)