コウメイ:国試まで後1か月位ですね。1か月前だとやる気がでる人と逆にやる気がでなくなる人に分かれるかもしれません。今日は、やる気がイマイチでない人に対してのメッセージです。
やる気が起きない理由のひとつに「国試は臨床の役に立たない。こんな病気聞いたことがないぞ。重箱の隅をつつくような問題をだしやがって!!」というのがあるかもしれません。まずはこのあたりについて考えてみたいと思います。
1)国試は臨床の役に立たないのか?
国試の役に立たないと思われる理由のひとつとして、「見たことがない病気について問われる」というのがあるでしょう。はっきり言うとそれはあなたが見たことがないだけです。例えば、
- ANCA関連血管炎
- IgA腎症
- ギランバレー症候群
- 原発性アルドステロン症
- 心内膜炎
- 完全房室ブロック
- 多発性硬化症
- ファブリー病
- 川崎病
- ITP
- 多発性骨髄腫
- 尿崩症
- クローン病
などなど。
実際に働くようになるとそこそこ経験する病気です。知識がないとやっていけません。今自分が見たことがあるかないかはあまり気にしないようにしましょう。研修医になったらきっと役に立つと思って勉強するのがよいです。
2)もっと臨床の役に立つ問題がある?
以上の内容で納得していただいた方はこれ以上読む必要はありません。ただ、中には「国試の問題が臨床の役に立つのは分かりました。でも、もっと臨床の役に立つ問題があるでしょう。それを出すべきです」と思っている方がいるかもしれません。
これは、私も学生時代や初期研修医になったばかりの頃は思っていました。研修医の主な仕事の一つに当直があります。当直で見る病気(症状)と言えば、
- 片頭痛
- 感染性腸炎
- めまい
- 胸痛
- 発熱
- 腹痛
- 感冒
- インフルエンザ
- 意識障害
などがありますが、国試ではあまりとりあげられることはなく、研修医になったばかりのころは何をしていいのか分かりません。色々勉強する必要があります。
そんなとき、「こういうのを国試でやるべきだ」と思うようになります。学生の方でも思っているかもが多いかもしれません。ただ、今はあまりそうは思いません。
3)学生のうちにこそ学ぶべき疾患がある
なぜかと言うと、これらの病気(症状)は頻度が多いのですぐに対処法を身につけることができます。
※極めるには時間がかかりますが、必要最低限のことができるようになるのは早いです。
ですので、大学でわざわざ教えるほどのことはないかもしれません。それよりは、頻度のそれほど多くない(けど経験する)ものを学んだ方がよいです。
例えば、臨床で経験するものが多いものばかり学んだ場合、腹痛、下痢が主訴の人を感染性腸炎と診断するでしょう。しかし、国試の内容を学んだ人はクローン病やUCが鑑別に挙がるかもしれません。
実際、患者の多くは感染性腸炎でしょう。でもその中の何人かはクローン病やUCかもしれません。もしクローン病やUCが鑑別に挙がり、感染性腸炎が鑑別に挙がらなかった人は大丈夫です。感染性腸炎は頻度が多いので経験するうちに、すぐに鑑別に挙がり対処法もすぐに身につきます。
しかし、クローン病やUCが鑑別に上がらなかった人は大変です。頻度が少ない病気ですので中々学ぶ機会がありません。そもそもそんな病気があるとは夢にも思わないでしょう。感染性腸炎と誤診し、他医でクローン病やUCと診断されているかもしれません。これでは永遠に知ることができません。
このように、少し頻度が少ない病気はどこかで集中して学ばないと、鑑別にすら挙がらなくなります。働いてからは時間がなく、なかなか集中して学ぶことは難しいです。学生のうちに学んでおくのがよいです。
4)まとめ
というわけで、少し長くなりましたがまとめです。
国試の内容は実際の臨床で経験します。中には見る頻度の少ないものもありますが、いつかは経験する可能性があり、学生のうちに学んでおかないと、一生鑑別に挙がらなくなってしまうかもしれません。
「こんな問題役に立つのかなぁ」と思いやる気がなくなっても、きっと役に立ちますので、ぜひ勉強してみてください。
ラスト1か月ですね。本記事がモチベーションの維持に役に立てば幸いです。