コウメイ:食道癌について質問をいただいたので回答します。
読者からの質問
year note 2014のA-27に食道癌の術後合併症が掲載されており、「術後早期合併症では肺合併症が最多であり、このほか不整脈、縫合不全、反回神経麻痺、乳び胸がある」という記述が見られます。
反回神経麻痺や乳び胸については、細いものなので傷つけてしまうリスクが 高いのだろうと推察できますが、 肺合併症は機序が分かりません。大きな臓器も術中に損傷することがあるのでしょうか。
目次
1)食道癌術後に起こる肺合併症
肺合併症として以下のようなものがあります。
ARDS
食道癌の手術は気管支周囲も広範囲に切除することがあります。その時、小さな血管の損傷や、炎症によるサイトカイン分泌などが原因でARDSが起こることがあります。
無気肺
術中、片肺換気にすることがあるので、換気していない方の肺が無気肺になることがあります。
誤嚥性肺炎
反回神経が障害されると、嚥下機能が低下するので術後、誤嚥性肺炎が起こることがあります。
以上、肺を直接損傷しなくても、合併症が起こることがあります。
2)補足:year noteは忘れたときの確認用
質問の趣旨からは外れますが、重要なことなので補足します。
よく、「year noteにはこのように書いてあるんですけどなぜですか?」という質問を受けます。year noteは教科書ではありません。事実を羅列してあるものであり、機序や病態生理はあまり書いていません。機序や病態生理を知らない人が利用するものではありません。year noteではなく病態が書いてある本で勉強するようにしましょう。
念のため言っておきますが、year noteが悪い本と言っているのではありません。きちんと勉強した人が、忘れた時に読むの分には、コンパクトにまとまっているので便利だと思います。