コウメイ:読者の方よりサルコイドーシスと過敏性肺炎について質問をいただきましたので回答します。
サルコイドーシスや過敏性肺炎では「ツ反の陰転化」が見られますが、それには理由などはあるのでしょうか?
また、CD4/CD8に違いがでるのはなぜですか?
1)ツベルクリン反応が陰転化する理由
そもツベルクリン反応(ツ反)とは結核の抗原に対してヘルパーT細胞がどの程度反応するかを調べる検査です。ヘルパーT細胞が適切に反応すれば炎症反応が起こり赤く腫れます。
サルコイドーシス
サルコイドーシスとはある抗原(アクネ菌が考えられている)に対しヘルパーT細胞が異常に反応し、炎症、線維化が起こってしまう病気です。サルコイドーシスではヘルパーT細胞がこの抗原に夢中になっているので、ツベルクリンを皮下注しても反応せずツ反は起こりません。
過敏性肺炎
過敏性肺炎もある抗原(砂糖きび、鳥の糞、トリコスポロンなど)に対しヘルパーT細胞が異常に反応している病気です。過敏性肺炎でもサルコイドーシス同様、ヘルパーT細胞がこれらの抗原に夢中になっているので、ツベルクリンを皮下注しても反応せずツ反は起こりません。
以上がサルコイドーシスと過敏性肺炎でツ反が陰転化する理由です。
2)サルコイドーシスと過敏性肺炎とでCD4/CD8に違いが出る理由(私見)
次にCD4/CD8について考えていきましょう。結論から言えば、サルコイドーシスと過敏性肺炎とでCD4/CD8が違う理由を詳しく調べることはできませんでした。よって、あまり深入しすぎないことが懸命です。
ただ、丸暗記しても忘れてしまうので自分なりに何か理由を考えるのもひとつの手です。私なら以下のように覚えます。
CD4はヘルパーT細胞のことで命令を伝える細胞である。よって、CD4がCD8(細胞傷害性T細胞)に命令を伝える。サルコイドーシスは色々な臓器を障害するので(命令を伝える)CD4が多そう。よって、CD4/CD8は大きくなる。一方、過敏性肺炎は肺だけを障害するので(命令を伝える)CD4は少なそう。よって、CD4/CD8は小さくなる。
※よく考えるとCD4が多くなればCD8も多く、CD4が少なければCD8も少なくなり、CD4/CD8は変化しなそうですが、自分なりに忘れにくい理由であればとりあえずOKです。
これ以上調べても時間がかかるだけで得るものは少ないので、他の問題を勉強し余裕があればまたこの問題に戻って機序を調べてみるのが良いです。
以下の記事も参考になります。