コウメイ:読者の方から頸椎症について質問をいただきました。
読者からの質問
頸椎症では上肢腱反射は低下し、下肢腱反射は亢進すると書いてあったのですがなぜですか?
また、脊髄損傷の急性期では全ての腱反射が消失または低下するのはなぜですか?
目次
1)頸椎症とは?
頸椎症とは椎間板が膨隆したり、靭帯が肥厚したり、骨棘の形成が起こったりして神経が障害された病気です。障害される神経によって大きく2種類に分けられます。
神経根が障害されると神経根症、脊髄が障害されると脊髄症となります。
2)上位運動ニューロンと下位運動ニューロンの違い
これから神経根症と脊髄症について説明していきますが、その前に確認です。上位運動ニューロンと下位運動ニューロンとの違い分かりますか?
上位運動ニューロンは大脳と脊髄の神経で、主に抑制する働きがあります。下位運動ニューロンは前根(神経根)より末梢の神経で、主に興奮させる働きがあります。
3)神経根症では反射は低下
上位運動ニューロンと下位運動ニューロンとの働きの違いを理解したところで神経根症では反射がどうなるか見ていきましょう。
神経根症は下位運動ニューロンの障害であるので、障害レベルの反射は低下します。その他のレベルの腱反射は正常です。当然、下肢の腱反射が亢進したりはしません。
4)脊髄症では下肢の腱反射は亢進
脊髄症は上位運動ニューロンの障害なので、障害レベルよりも下の腱反射は亢進します。前根も一緒に障害された場合は障害レベルの腱反射は低下します。
5)脊髄損傷の急性期
交通事故などによる脊髄損傷では、障害レベル以下の腱反射が低下することがあります。一見すると亢進しそうですが、低下です。そして、数週間すると亢進に転じるようです。この理由は分かりません。
ただ、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンとの働きの本質ではないため、とりあえずはこういうこともある位に覚えておくのがbetterかと思います。