コウメイ:読者の方からご質問をいただいたので回答します。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。
医師国家試験107B36
低ナトリウム血症がみられるのはどれか。2つ選べ。
a 肝硬変症
b Addison病
c 中枢性尿崩症
d Cushing症候群
e 原発性アルドステロン症
正解(クリック)
この問題に対し以下のような質問を持ったようです。
読者からの質問
肝硬変ではなぜ低ナトリウム血症になるのでしょうか?
目次
1)末梢に血液がうっ滞する
肝硬変では門脈圧が亢進し、腸から肝への血流が悪くなります。そのため腸に血液がうっ滞します。
また、肝硬変になると体内の一酸化窒素(NO)濃度が上がります。NOは血管拡張作用がありますので、末梢血管が拡張し、そこに血液がたまります。
2)ADHの働きがより亢進する
この2つの影響で主要な動脈を流れる血液量(有効循環血液量)は減ります。その結果、RAA系とADHの働きが亢進します。RAA系はNaと水の再吸収をADHは水の再吸収を促進させます。
詳しい理由は分かりませんが、肝硬変では特にADHの働きが亢進するため、主に水が再吸収され低Na血症になるようです。
以上が肝硬変で低Na血症になる理由です。
3)【コメントより】Donnans effect
以下のコメントをいただきました。ありがとうございます。
Liver cirrhosis(やNephrotic syndrome)で低Na血症になる原因の一つに-のチャージを帯びたAlbが欠乏することにより、+のチャージを帯びたNaイオンが血管外に漏れてしまう(Donnans effect)もあると考えられます。