コウメイ:読者の方より「関節リウマチで血中カルシウム濃度はどうなるか?」との質問をいただきました。まずは質問の元となった問題を見てみましょう。
医師国家試験81B74(改変)
46歳の女性.13年前に発症した関節疾患のため入退院を繰り返している.両手のX線写真では、両手のエックス線尺側偏位、関節腔狭小、手根骨の破壊を認める。
本疾患と関連がないのはどれか.3つ選べ.
a 環軸椎亜脱臼
b 関節内出血
c 高カルシウム血症
d 高尿酸血症
e 低色素性貧血
正解(クリック)
これに対し以下のような疑問を持ったようです。
読者からの質問
解説書には「急性不用性骨萎縮や白血病では高カルシウム血症となるが関節リウマチではならない」との説明がありました。しかし、「関節リウマチでは骨破壊があるので高カルシウム血症になるのでは?」と考えました。
そもそも、関節リウマチでは高カルシウム血症にならないので、教科書で「関節リウマチで高カルシウム血症にならない理由」との記載は見つけることができませんでした。よって、以下は私の考えになります。
目次
1)骨破壊で高カルシウム血症が起こる病気との比較
まず、骨破壊により高カルシウム血症が起こる病気はどんなものがあるか考えてみましょう。
肺癌や乳癌が有名ですね。それと比べては関節リウマチはどう違うでしょうか?癌は椎骨や大腿骨などの大きな骨にも転移し破壊します。関節リウマチはPIP関節などの小さい関節に好発します。
進行のスピードについても比べてみましょう。骨転移をした場合、癌は週単位で進行します。関節リウマチはそれと比べるとゆっくりです。
よって、癌は大きな骨を早く破壊するので高カルシウム血症になるが、関節リウマチは小さな骨をゆっくり破壊するので高カルシウム血症にならないと考えられます。
2)補足:新しい問題から解こう
質問と直接は関係ありませんが、この問題は81回と非常に古いです。まずは新しい問題から解くことをお勧めします。
古い問題より新しい問題を解こう 〜過去問10年分は必須〜
コウメイ:読者の方からコメントをいただきました。おそらく同様に疑問に思っている方は多いと思うので必見です。 まずはコメントを見てみましょう。 読者からのコメン…