閉塞性黄疸で血液中のコリンエステラーゼが増加しない理由【96B16】

コウメイ(@kokusigokaku):読者の方より「閉塞性黄疸」について質問をいただきましたので回答します。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

第96回医師国家試験B16

閉塞性黄疸で血液中に増加するどれか。

  1. 総コレステロール
  2. アルカリフォスファターゼ
  3. 胆汁酸
  4. コリンエステラーゼ
  5. グロブリン
答え(クリック)

a、b、c

 

読者からの質問

総コレステロールは正解でコリンエステラーゼは不正解になっています。どちらも肝臓で合成されるものなのにどうしてコリンエステラーゼは排泄できず血中で増加しないのですか?

 

コレステロール、コリンエステラーゼについて合成、分泌を考えてみましょう。

目次

コレステロールの合成、分泌

コレステロールは肝臓で合成され、一部は血中へ流れ、その他は胆汁酸の合成に利用されます。合成された胆汁酸は胆管から排泄されます。

閉塞性黄疸では胆汁酸が排泄されないため、胆汁酸の合成がストップします。すると胆汁酸の原料のコレステロールが余ってしまうため、血中へ流れる割合が大きくなります。ですので血中のコレステロールは高くなります。

コリンエステラーゼの合成、分泌

肝臓で合成されますが、ほとんど血中へ流れます。胆管が開いていようが、閉塞していようが元々血中へ流れています。閉塞性黄疸があったからといって血中濃度は変わりません。

以上で説明は終わりです。

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