続発性甲状腺機能低下症でTSHが低値になる理由〜続発性は二次性(下垂体性)と同義〜

コウメイ:読者の方から以下の質問をいただきました。

読者からの質問

続発性甲状腺機能低下症でTSHが低値になる理由が分かりません。続発性であっても甲状腺機能が低下しているなら、positive feedbackでTSHは上がるような気がします。

目次

1)続発性は二次性(下垂体性)と同義

今回のポイントは「続発性」の意味です。仮に続発性が甲状腺の外傷や放射線治療を意味するのであれば読者様のご指摘通りpositive feedbackでTSHは上がります。

しかし、通常「続発性」は「下垂体」が原因のことを意味します。よって、続発性甲状腺機能低下症ではTSHが定値になります。

続発性甲状腺機能低下症の原因部位

以上より続発性甲状腺機能低下症ではTSHが低下となるのはご理解いただけたかと思います。

※二次性のことを中枢性と呼ぶことがもあります。より正確に言えば中枢性は三次性(視床下部性)の障害も含みます(日内会誌 99: 720-725, 2010)。続発性も三次性を含むと思いますが、はっきり記載しているものを見つけることができませんでした。

2)二次性甲状腺機能低下症でTSHが正常〜高値な場合もある

二次性甲状腺機能低下症ではTSHは低下すると説明しましたが、実は正常値〜高値のこともあります。正常ではないTSHを分泌している場合です。甲状腺を適切に刺激することができないため、free T4は低値になります。この場合も二次性甲状腺機能低下症と言います。原発性甲状腺機能低下症との鑑別が重要になりますが、抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体や他の下垂体ホルモンの結果を見ながら総合的に判断します。

医師国家試験で出題されることはないと思うので、必要以上に気にする必要はありません。研修医になって代謝・内分泌科を回ったらぜひ詳しく勉強してみると良いです。

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