第112回医師国家試験の総評

コウメイ:第112回医師国家試験が終了したので、総評を書きたいと思います。総評を書いてはいきますが、他人が書いた総評を読んでもあまりよいことはないでしょう。軽く読みながす程度でOKです。それより、本記事を読んだ上で自分で総評を考えてみるのがよいです。

目次

1)昔と今の難しさの違い

国試は年々難しくなっていると言われることがありますが、どうでしょうか?

もちろん、受験生の立場で言えば自分が受ける問題が一番難しく感じるでしょう。国試に限らず、高校受験や大学受験、学内試験など何でもそうです。それは当たり前なのですが、昔と今とでは難しさの質が違う気がします

昔の国試は「教科書には書いてあるが、細かい知識であり読んでいないもしくは暗記していない」ためできない問題が多く、最近の国試は「研修医向けの参考書ではよくとりあげられる内容だが、学生が読む本にはあまり書いていない」ため判断できない問題が多いです。

研修医向けの参考書と聞くと難しい気もしますが、実際に読んでみると内容としてはそれほど難しいわけではありません。例えば、酸素投与1L/分ではFiO2=0.24、2L/分ではFiO2=0.28、3L/分では・・という内容です。別に難しくないですよね。でも学生向けの教科書にはあまり載っていないので、酸素投与の問題が出題されると難しく感じるかもしれません。しかし、繰り返しになりますが、学問としては難しくはありません。むしろ、1年のときにやった医学物理などの方が学問としては難しいでしょう。

これらの問題が解けるようになるには、研修医になったつもりで実習をするのがよいです。

2)臨床に即した問題が多いのは良いことなのか?

最近の問題は教科書に書いてある細かい知識より、臨床に即した問題が多いのですが、これは良いことなのでしょうか?私が学生の頃や研修医になったばかりのころは、臨床に即した問題が良問と思っていました。しかし、最近はそうも思いません

確かに臨床に即した問題を解くことが多いと、研修医になってすぐに役に立つでしょう。しかし、研修医になってすぐに役に立つ内容は意外とすぐに身につけることができます。一方、ある程度臨床をしていると学生のときには勉強したけど、頻度が低いため普段は中々診ないような疾患に出会うことがあります。その場合、教科書で確認しながら診療にあたるのですが、一度でも学生のときに勉強したことがないと、そもそも鑑別にすら挙がらず、調べるということさえできないでしょう。臨床に即した問題ばかりが出題されると、医師になったときに、そのような頻度の低い疾患に対応できなくなるのではないかと危惧しております。

結局どのように勉強すればよいかですが、教科書的な知識も臨床的な考えもバランスよく勉強することが大事です。

3)科目別の出題数は気にしすぎない

「バランスよく勉強する」に関してですが、科目別の出題数はあまり気にしすぎないのがよいでしょう。循環器科は20問出題されたから今月は循環器科を20時間勉強して、公衆衛生は50問出題されたから公衆衛生は50時間勉強しようなどという計画は立てなくよいです。そもそも、公衆衛生は暗記系が多いので20時間でよいかもしれないし、循環器科は病態をじっくり考えないといけないから50時間必要かもしれません。そこまでは考えずに、国試予備校のネット講座を普通に勉強すればよいでしょう。そうすれば満遍なく解けるようになります。

4)出題される疾患は過去も昔も同じ

ちなみに、過去も昔も出題される疾患に大きな違いはありません。第112回医師国家試験は全く聞いたこともないような疾患が出題されたということはありません。今までの出題された疾患を丁寧に勉強すれば解ける内容です。

5)勉強開始は早ければ早いほどよい

先輩から「国試の勉強は受験年の1月になってからすればよい」「暗記系はどうせ忘れるから直前にやればよい」など聞いたことがあるかもしれませんが真に受けないのがよいでしょう。勉強は早ければ早いほどよいです。中には「過去問集1冊やればよい」という無責任なことをいう医師がいるかもしれませんが、完全無視でOKです。

6)ネットではなく教科書で調べる

ちょっと話が変わりますが、成績がよくない人の特徴を説明したいと思います。成績がよくない人は教科書を持っていません。教科書を持っていないので、何か調べるときはgoogleになります。確かにgoogleで色々なことを検索できますが、残念ながら医大生が学ぶべき内容はweb上にはあまり存在しません。もちろん、教科書には書いていないが、web上に書いてあることもあります。しかし、その頻度は非常に低いです。基本的には教科書で調べ、書いていない場合のみwebで調べるのがよいです。
※研修医の中にも教科書を買わずにgoogleで調べる人がいます。教科書を買ってきちんと読んでいる人とは明らかに知識の差を感じます。

7)第113回医師国家試験に向けて

最後に、第113回医師国家試験合格に向けてすべきことをまとめます。

  • 教科書は必ず買う
  • 教科書を読む
  • ネット講座をうまく利用する
  • ネット講座を早め早めに終わらす
  • 臨床実習は研修医になったつもりで行う
  • 上記を今すぐ実行する

以上で終わりです。お役に立てれば幸いです。

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