褐色細胞腫の治療 | αブロッカーとβブロッカーの作用

コウメイ:ユウキさんから褐色細胞腫の治療について質問をいただきました。

 

「褐色細胞腫にβブロッカーの単独投与は禁忌」とだけ

丸暗記している方はいませんか?αブロッカーとβブロッカーの

作用についてしっかり理解することが重要です。 

まずは質問を見てみましょう。

 

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血管が拡張してしまうので、起立性低血圧にαブロッカーは

使わないと習いました。しかし褐色細胞腫の治療はβブロッカー

単独投与は禁忌でαブロッカーを併用もしくは単独投与するとあります。

褐色細胞腫の症状に起立性低血圧があるのですが良いのでしょうか。

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コウメイ:きちんと病態を理解しようとしており良い質問ですね。

それでは褐色細胞腫とは何かというところから説明していきます。

 

 

褐色細胞腫とは

コウメイ:基本的なところから確認していきます。

褐色細胞腫とはどんな病気ですか?

 

 

学生B:簡単ですよ。

βブロッカーを単独投与してはいけない病気です!!

 

 

コウメイ:(全然本質じゃないなぁ)

なぜいけないのですか?

 

 

学生B:禁忌だからです!!

コウメイ先生知らないんですか〜。

 

 

コウメイ:全く理由になっていませんね。

私が詳しく説明していきます。

 

褐色細胞腫とは主に副腎髄質から発生する腫瘍で、

カテコールアミンを分泌します。 

カテコールアミンは交感神経の受容体に作用し、様々な

症状を引き起こします。

 

 

交感神経受容体の種類

交感神経受容体はα受容体とβ受容体とがあります。 

α受容体は血管を収縮させる働きが、β受容体は血管を

弛緩させる働きがあります。

 

 

学生B:じゃ、褐色細胞腫では血管はどうなるんですか。

収縮ですか?弛緩ですか?

 

 

コウメイ:カテコールアミンはα受容体の方に強く作用

するので血管は収縮します。その結果、血圧が上がり

高血圧眼底などの症状を引き起こします。

 

 

褐色細胞腫の治療

褐色細胞腫の治療には必ずαブロッカーを使います。

βブロッカー単独はダメです。理由はもう分かりますよね。

 

α受容体は血管を収縮、β受容体は血管を弛緩させますが、

βブロッカーを投与すると弛緩作用がなくなり、収縮が強くなってしまいます。

その結果、さらに血圧が上がってしまいますので、

βブロッカーの単独投与は行いません。

 

 

褐色細胞腫で起立性低血圧が起こる理由

褐色細胞腫の基本的な内容を理解したところで、

読者の方の質問に答えていきたいと思います。

 

褐色細胞腫は血管が収縮しており普段は血圧が高いのですが、

起立性低血圧が起こることがあります。

 

なぜだか知っていますか?

 

 

学生B:気まぐれなんじゃないですか?

 

 

コウメイ:ちょっと学生B君には休んでいてもらいましょう。

 

血管が収縮しているということは、血管の経が細くなっています。

血管の経が細いということは、血管の容積が小さいということであり、

それは循環血液量が少ないことを意味します。

 

ところで、血圧を求める式は覚えていますか?

 

血圧=心拍出量 × 末梢血管抵抗 でしたね。

 

起立時は重力の関係で下半身に多く血液がたまり、

心臓へ戻る血液量が減ります。その結果、心拍出量が減ります。

 

正常な人なら循環血液量は減少していないので、

心拍出量の低下はそれほどありません。

また、末梢血管抵抗を上げることができるので

起立性低血圧は起こりにくいです。

 

しかし、褐色細胞腫の患者は普段から目一杯血管を収縮

させているのでそれ以上収縮させることができません。

かつ循環血液量が減っているので、心拍出量の低下が顕著になります。

このため起立性低血圧が起こりやすいのです。

 

 

起立性低血圧とαブロッカー

αブロッカーは血管の収縮を抑制するので副作用に

起立性低血圧があります。それなのに褐色細胞腫の

患者に使用していいのでしょうか?

 

 

学生B:絶対にダメです。

起立性低血圧が起こったら大変ですから。

 

 

コウメイ:ではどうしますか?

βブロッカーを単独投与しますか?

それとも何もしませんか?

 

 

学生B:・・・。

 

 

コウメイ:それでは質問を変えます。

血圧が高いままの状態と起立性低血圧が起こるかも

しれない状態のどっちがいいですか?

 

 

学生B:血圧が高いままは嫌です。

起立性低血圧が起こったほうがましです。

 

 

コウメイ:そうですね。それが普通の意見だと思います。

 ですのでαブロッカーは使います。

 

 

起立性低血圧の予防法

αブロッカーは投与するけど起立性低血圧も避けたい。

 

ではどうすればいいのかというと、αブロッカーの量を

少しずつ増やせばいいのです。αブロッカーを少しずつ

増やせば、血管は徐々に弛緩し、循環血液量も徐々に

増えるので起立性低血圧は起こりにくくなります。

 

以上で解説は終わりです。

 

αブロッカーを投与したときと投与しないときのどちらが

メリットが大きいか、投与量を徐々に増やすことで副作用を

回避するというのがポイントでした。

 

ちなみに、ピンク矢印が褐色細胞腫です。

緑矢印は正常な腎臓です。

腎臓は血流が多いため造影CTでhigh densityになります。

褐色細胞腫のCT

 

今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)