潜伏期間が2日の食中毒の原因菌は? 〜サルモネラ vs カンピロバクター〜【87B97】

コウメイ:今回は医師国家試験の食中毒の問題について質問をいただきました。まずは問題を見てみましょう。

医師国家試験87B97

7月下旬、腹痛、下痢、発熱を主症状とする患者が多発した。患者に共通していたことは2日前に某料理店で会食をしたことであった。食品摂取状況による発病率を比較すると、牛肉のたたきと焼き鳥を食べた群の発病率が食べなかった群より優位に高かった。

最も考えられる原因菌はどれか。

a Welch菌
b サルモネラ
c ブドウ球菌
d 腸炎ビブリオ
e カンピロバクター

これに対し以下のような疑問を持ったようです。

読者からの質問

食中毒の原因として牛肉のたたきと焼き鳥が挙げられ、潜伏期間が2日なのでサルモネラとカンピロバクターが正解と考えたのですが、解答はカンピロバクターのみでした。なぜ、サルモネラが正解とならないか教えてください。

目次

1)サルモネラとカンピロバクターの潜伏期間

食中毒は食べ物によって原因菌が異なります。牛肉のたたき、焼き鳥といえばサルモネラかカンピロバクターでしょう。それぞれの見分け方ですが、潜伏期間が異なります。

サルモネラ

潜伏期間は6〜48時間と言われています。ただし、6〜24時間と記載してある文献もあるので、48時間よりは早いことが多いのでしょう。

カンピロバクター

潜伏期間は2〜5日と言われています。今回の問題では潜伏期間が最低でも2日なので、どちらかと言えばカンピロバクターの方が可能性が高いと思われます。

「言いたいことは分かりましたが、そんな微妙な日数で判断していいんですか?」

と思われた方はその通りです。私は正解を知っていたので解説しましたが、正解を知らなかったら正直迷うと思います。実際は質問者が考えたようにサルモネラの可能性も考えることが必要です。そして、便からの菌の検出などを行い確定診断していきます。

若干納得がいかない問題ですが、これ以上深入りしてもあまりメリットはありませんので、この辺で終わらせて次の問題にいくのがいいです。

2)補足:古い問題は参考程度に 〜新しい問題を優先して解こう〜

この問題は87回と大分古いです。おそらく復元問題と思われ正確な内容でないかもしれません。このような古い問題を新しい問題より優先して解くメリットはありません。まずは過去10年分位に絞って解くのがいいかと思います。それが終わったら好きなだけ古い問題も解いてみましょう。

以上、若干脱線しましたが、食中毒についての勉強でした。

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