コウメイ:今回はクレアチニン・クリアランスについて

質問をいただいたので回答します。まずは質問を見てみましょう。

 

*****************************質問*****************************

クレアチニン・クリアランスについて質問があります。

 

1.クレアチニン・クリアランスとは腎に流れる血漿量(mL/分)とのことですが、

クレアチニンのクリアランスと言うのだから血漿量ではなく、尿のクレアチニンの

量で表せば良いように思えます。なぜ、わざわざ血漿量に換算するのでしょうか?

 

2.クレアチニン・クリアランスを計算する式の単位について納得できません。

クレアチニンを求める際の式は

尿中クレアチニン濃度(mg/dL)×尿量(mL/分)÷血清クレアチニン濃度(mg/dL)×1.73÷体表面積(m2)

だと思いますが、この分子の部分で、尿中クレアチニンの単位は(mg/dL)なのに対し、

尿量の単位は(mL/分)です。

溶液量に濃度を掛けて溶質量を求める場合は、単位をそろえるべきだと思います。

なぜ単位の換算をしないまま掛け合わせるのでしょうか?

 

3.クリアランスの概念をよく理解できていない私だから抱く疑問なのかも

しれませんが、「クレアチニン・クリアランスの値が高い、低い」と言われた場合、

そこから何を感じ取れば良いのでしょうか。

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コウメイ:色々と疑問があるようですね。それでは一つずつ解決していきましょう。

 

なぜクレアチニンの量ではなく血漿量なのか?

コウメイ:クレアチニン・クリアランスの概念や求め方は教科書に

書いてあるのでそちらを読んでほしいのですが、式は

 

クレアチニン・クリアランス(mL/分)

=尿中クレアチニン濃度(mg/dL)×尿量(mL/分)÷血清クレアチニン濃度(mg/dL)

 

となります。

 

尿中クレアチニン濃度×尿量=尿中クレアチニン量になるので

クレアチニン・クリアランス=尿中クレアチニン量÷血清クレアチニン濃度

になります。

 

ということは、クレアチニン・クリアランスは尿中クレアチニン量だけではなく、

血清クレアチニン濃度にも左右されることが分かります。

ですので、クレアチニン・クリアランスを尿中クレアチニン量で表す

ことはできません。

 

 

クレアチニン・クリアランスの単位について

尿中クレアチニン濃度(mg/dL)×尿量(mL/分)

の部分ですが、dは10分の1、mは1000分の1という意味でどちらもただの数字です。

本質はどちらもLですので問題ありません。

 

なお、クレアチニン・クリアランスの式に体表面積や体表面積の補正は

ありません。

たまに、

クレアチニン・クリアランス(mL/分)=

尿中クレアチニン濃度(mg/dL)×尿量(mL/分)÷血清クレアチニン濃度(mg/dL)×1.73÷体表面積(m2)

のように体表面積の補正を行っている書籍やWebサイトを見かけますが、

それは間違いですので気をつけてください。正しくは、

 

クレアチニン・クリアランス(mL/分)

=尿中クレアチニン濃度(mg/dL)×尿量(mL/分)÷血清クレアチニン濃度(mg/dL)

 

となります。

 

 

クレアチニン・クリアランスの使い方

では、先程の式で求めたクレアチニン・クリアランスですが

どのように利用すればいいのでしょうか?

 

大学の講義では、式の概念や求め方は教えますが、その利用法については

あまり教えないかもしれません。ですので、学生にとってはあまり重要性が

分からないものとなってしまいます。

しかし、実際に医師として働くようになるとめちゃくちゃ大事です。

 

その大事さを理解するために、クレアチニン・クリアランスとは

クレアチニンを使って求めた腎に流れる血漿(血液)量である

ことを意識しましょう。

 

もっと言うと、クレアチニンはどうでもいいです。

とにかく腎に流れる血漿量です。

 

つまり、腎機能のひとつの指標となります。

大事なのでもう一度言います。

 

クレアチニン・クリアランスは腎に流れる血漿量であり腎機能のことです。

 

腎機能なので良いときには問題になりません。悪い時に問題になります。

具体的に言うと、クレアチニン・クリアランスが60mL/分位だと

少し悪いなと思います。

 

では悪い場合、何を考えればいいのか?

 

 

クレアチニン・クリアランスが悪くなる原因を考える

クレアチニン・クリアランスつまり腎機能が悪い場合、いくつか考えること

がありますが、まずは原因です。なぜ、悪くなったのでしょうか?

 

腎機能が悪くなる原因として、大きく腎前性、腎性、腎後性に分かれるのは

皆さんご存知かと思います。それぞれさらに原因が分かれますが、その中の

どれであるのか鑑別していくことになります。

 

 

クレアチニン・クリアランスと薬、造影剤

他に気をつけるべきこととして、腎機能が悪い場合、薬の投与量を

減らさなければいけないことがあります。

CTやMRIの造影剤も腎機能が悪い場合には使用できないことがあります。

 

研修医になると、当直で造影CTをオーダーしたり、抗生剤を使用したり

することが多々あります。そのとき、必ずクレアチニン・クリアランスを含めた

腎機能を意識するようにしてください。

 

※ちょっと補足です。特に研修医の先生用です。

実際の現在で使用するのはクレアチニン・クリアランスの推定式です。

Cockcroft-Gaultの式がよく用いられます。電カルやスマホのアプリで簡単に計算できます。

 

男性:(140−年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)  

女性:0.85×(140−年齢)×体重/(72×血清クレアチニン値)

 

ご覧のように、推定式は血清クレアチニン値のみで計算可能です。

尿中クレアチニン値や尿量は必要ありません。

逆に、血清クレアチニンのみで求めたクレアチニン・クリアランスは

あくまで推定値であり、本当の値と誤差が生じることがあることを理解し

使用することが必要です。

 

以上でクレアチニン・クリアランスに関する回答は終わりです。

今回は本質を理解していただきたかったので細かい話はしておりません。

もっと詳しく知りたい内容がありましたらまたご連絡ください。

 

今回は以上で終わりです。お疲れ様でした(^_^)

クレアチニン・クリアランスの分かりやすい話