心音のⅢ音とⅣ音の機序。心房細動でⅣ音が聴こえない理由。

最終確認日:2017/08/03 最終更新日:2017/08/03
 
ポイント
  • Ⅲ音は拡張早期に心室壁が振動する音
  • Ⅳ音は心房が収縮し心室に血液が流入したときに心室壁が振動する音
  • 心房細動は心房が収縮していないのでⅣ音は聴こえない

 

コウメイ:読者の方から心音について質問をいただきましたので回答します。まずは質問を見てみましょう。

読者からの質問

Ⅲ音、Ⅳ音がどんな時になるのか教えて欲しい。心房細動だとⅣ音がない?

 

Ⅲ音の機序

Ⅲ音が生じる機序

Ⅲ音は拡張早期に血液が急速に心室に充満し、心室壁が振動することにより生じます。普通は心室に血液が充満しても心室は振動しません。以下の場合に振動します。

心室壁が障害されている場合

心室壁が障害されていると振動します。具体的な疾患は以下の通りです。

  • 心筋症
  • 心筋炎
  • 心筋梗塞

 

心室に容量負荷がある場合

正常では拡張早期は心室に血液はそれほど充満していませんが、何かのきっかけで血液が充満していると心室が振動しⅢ音が聞こえます。具体的な疾患は以下の通りです。

  • 僧帽弁閉鎖不全症
  • 大動脈弁閉鎖不全症
  • 心室中隔欠損症(右室が振動する)

 

Ⅳ音の機序

Ⅳ音の機序

Ⅳ音は拡張後期に心房が収縮して血液が心室に流入したときに心室壁が振動する音です。心房が心室に無理やり血液を送るため心室が振動します。

なぜ心房が無理やり血液を送るかと言えば、心室に血液が溜まっているからです。なぜ、心室に血液が溜まるかと言えば、心室が弱っているからか、心室の先に抵抗があるからです。具体的な疾患は以下の通りです。

心室が弱っている

  • 心筋梗塞
  • 拡張型心筋症

心室の先に抵抗がある

  • 高血圧
  • 大動脈弁狭窄症
  • 肥大型心筋症

 

心房細動でⅣ音が聴こえない理由

Ⅳ音は心房が収縮したときに心室が振動する音です。心房細動は心房が収縮していません。だからⅣ音は聴こえません。

臨床実習をしていて、心房細動の患者さんを聴診したときに指導医から「Ⅳ音は聴こえますか?」と質問されることがあるかもしれません。

この質問は「Ⅳ音が聴こえたか?Ⅳ音が聴こえないか?」を問うてるのではなく、「心房細動ではⅣ音は聴こえるはずがないことを知っているか?」ということを問うています。「心房細動なので聴こえません。」と答えるようにしましょう。

 

以上、「Ⅲ音、Ⅳ音の機序」と「心房細動でⅣ音が聴こえない理由」について説明しました。今回の講義は終わりです。お疲れ様でした(^_^)