肺高血圧症で肺動脈楔入圧が正常である理由 〜肺動脈性楔入圧の測定法〜

コウメイ(@kokusigokaku):読者の方から「肺高血圧症」について質問をいただきましたので回答します。きとんと勉強しているひとはきっと同じ疑問を持つはずです。

読者からの質問

MCTDなどでは、肺動脈圧は上がりますが肺動脈楔入圧は正常と習いました。肺の血圧が上がれば、弁などのしきりのない左房の圧も上がりそうに思えます。

 

いい質問ですね。私も学生のころ、肺動脈楔入圧がよく分からず色々と考えていました。できるだけ分かりやすく解説していきたいと思います。

血圧はどのようなときに高くなるのか?

まずは、「血圧はどのようなときに高くなるのか?」ということを考えてみましょう。

簡単に言えば、圧を発生させる臓器が細い部分に血液を送ったときその間(どちらの臓器も含む)の血圧が高くなります。

どちらかがなければ血圧は高くなりません。

普通の動脈硬化を考えてみましょう。圧を発生させる臓器は左室、細い部分は細動脈になり、その間(細動脈〜左室)の血圧が高くなります。通常であれば腕で血圧を測定するので腕の血圧が高くなります。

仮に大動脈を遮断したとしましょう。この場合当然ですが腕で血圧を測定しても高くなりません。というかほぼ0ですね。ここ重要なので覚えておいてください。

肺動脈圧の測定法

肺動脈圧の測定は肺動脈に圧を測定するセンサーを挿入し行います。このときにバルーンを膨らますことはしません。

肺動脈圧の測定法

肺高血圧症とは肺動脈が細くなる疾患です。原因が不明(特発性肺高血圧症)なこともあればMCTDなどのように原因がある場合もあります。いずれにせよ、圧を発生する臓器(右室)と細い部分(肺動脈)との間である肺動脈、右室の圧が高くなります。

肺動脈楔入圧の測定法

次に肺動脈性楔入圧の測定法について説明します。肺動脈性楔入圧はカテーテルを肺動脈まで進め、バルーンを膨らませ血流を止め、バルーンより遠位の圧を測定します。
※このバルーンを膨らますというのが先程の大動脈を遮断したのと同じになります。肺動脈を遮断しても同様の結果を得ることができますが大変なのでしません。

 

よって、測定する部位に右室の圧はかかっていません。

右室以外に圧を発生させる臓器があるか考えてみましょう。圧を測定するセンサーに隣接するのは肺毛細血管、肺静脈、左心房になります。肺毛細血管、肺静脈はそもそも圧を発生させる臓器ではありません。左心房は圧を発生させることができますが、通常であれば圧は左室へ伝わります。

よって、センサーの部位の圧が高くなることはありません。つまり、MCTDでの肺動脈楔入圧は正常となります。以上で説明は終わりです。