低体温症の治療 | 気管挿管 vs 心室細動

最終確認日:2017/07/29 最終更新日:2017/07/29

コウメイ:みなさん、こんにちは、最近、寒くなってきましたね。ちょうど、低体温症について質問をいただいたので解説したいと思います。まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

第107回医師国家試験I75

70歳の男性。意識障害のため搬入された。冬の寒い日に長時間停電があり、自宅で発見された時には意識はなく暖房は消え室内は冷え切っていた。救急搬送時から救急車内の暖房や保温シートなど表面加温が開始された。

搬入時、意識レベルはJCS300.腋窩温32℃。脈拍60/分、整。血圧92/52mmHg。呼吸数10/分。SpO2 88%(リザーバー付マスク10L投与下)。全身の皮膚は冷たく、発汗はない。

まず、行うべきものはどれか。

  1. 頭部CT
  2. 気管挿管
  3. 温浴加温
  4. 胸骨圧迫
  5. 尿道カテーテル留置

正解:b

 

この問題に対し以下のような疑問を持ったようです。

読者からの質問

1.気管挿管をすると心室細動の危険性があると習ったのですが、気管挿管をしてよいのでしょうか?

2.他の問題では「加温」が正解となっていました(気管挿管の選択肢は書いてありませんでした)。

3.1、2を考えるとcの温浴加温の方がいいのではないでしょうか?

 

リザーバー付きマスクとは

コウメイ:低体温とは関係ないのですが、リザーバー付きマスクって知っていますか?リザーバーとはこの透明な袋のことです。

リザーバー付きマスク

一見するとただのビニール袋なんですが、これがあると非常に高濃度の酸素を吸うことができるので覚えておきましょう。詳しいことは研修医になったら勉強してみてください。

 

低酸素血症の対応

本患者ではリザーバー付きマスクを使っているのにもかかわらずSpO2が88%と低いです。さらに悪化すると致死的ですので、これは何とかしなれればいけません。どうしましょうか?

 

学生B:気管挿管ですか?

 

コウメイ:そうですね、それがいいかと思います。ちなみに、気管挿管後はこれ(人工呼吸器)につなぎます。

ベンチレーター

 

心室細動のリスク

学生B:気管挿管が必要なのは分かりました。でも、心室細動のリスクもありますし、本当にやっていいのですか?

 

コウメイ:じゃ、どうしましょうか?

 

学生B:酸素マスクで何とか・・。

 

コウメイ:もちろん、酸素マスクで何とかなる状況だったら無理に気管挿管する必要はありませんが、今回は

  • 意識なし
  • SpO2 88%(リザーバー付きマスク10L)
  • 呼吸数10回/分

ですので、気管挿管するメリットの方が大きいと思います。

もちろん、すぐに除細動をできる準備をしておき、気管挿管の上手な医師にやっていただくことになります。今回は気管挿管をすべきかについて、説明しました。次回は、温浴加温について考えていきたいと思います。
低体温症の治療 | 温浴加温は可能?