コウメイ:『これだけ輸液』を読んでいただいた方からご質問を頂きました.
電解質補正や血糖補正を行う際、数時間おきに採血をするならば「Aラインを検討する」との記載がありました.静脈ラインからの採血ではいけないのでしょうか?輸液行っているラインの側管からシリンジで引けば,採血できそうな気がします.
読者からの質問
電解質補正や血糖補正を行う際、数時間おきに採血をするならば「Aラインを検討する」との記載がありました.静脈ラインからの採血ではいけないのでしょうか?輸液行っているラインの側管からシリンジで引けば,採血できそうな気がします.
良い質問だと思います.静脈ラインから採血できれば,わざわざAラインをとる必要ありませんからね.患者にとっても,医療従事者にとってもメリットがあります.しかし,お勧めはしません.ポイントは血液の流れる向きです.
目次
1)Aラインからの採血
Aラインは前腕の遠位から近位に向かって留置針を留置します.Aラインの先には動脈血が向かってきます.採血する動脈血は血液のみです.
2)静脈ラインからの採血
静脈ラインも前腕の近位から遠位に向かって留置します.静脈ラインの先端からは静脈血が遠ざかるように流れています.静脈ラインは輸液製剤を流しておくので静脈血には輸液製剤が含まれます.静脈ラインをシリンジで引き,静脈血で満たしても,静脈血自体に輸液製剤が含まれています.よって,静脈ラインからの採血は通常行いません.
言われてみれば当たり前かもしれませんが,日常行われていることに疑問を持つのは良いことだと思います.以上で回答は終わりです.