医師国家試験の禁忌肢について(第112回医師国家試験)

コウメイ:以前、禁忌肢は気にしすぎなくてよいとの記事を書きました。しかし、受験生にとっては気になるものです。以下のご質問をいただきました。
※該当の記事はこちら:医師国家試験の禁忌肢について

読者からの質問

はじめまして。ブログ読ませていただいています。第112回の医師国家試験を受け結果待ちの身です。禁忌が心配でたまりません…。以下は禁忌判定されるような問題でしょうか。

  • 102A29の内斜視にアトロピン点眼
  • 102E36のくも膜下出血に腰椎穿刺
  • 102E42の脳出血に経鼻エアウェイ挿入

 

それぞれの問題で考えてみましょう。

【111A29】
(簡単にまとめると)3歳の内斜視への対応でまず行うべきはどれか?
a. 経過観察、b. 眼鏡矯正、c. 斜視手術、d. 検眼遮蔽、e. アトロピン点眼

命に影響しないので絶対に禁忌肢にはなりません。

【112E36】
(簡単にまとめると)62歳の女性で頭痛を主訴に来院。CTで明らかにクモ膜下出血と診断できる。次に行うべき検査は何か?
a. 脳波、b. 脳血管造影、c. 脳脊髄培養検査、d. 頭部MRI拡散強調画像撮像、e. インフルエンザウイルス迅速抗原検査

正解はbの脳血管造影と思われますが、髄液検査は禁忌肢にはならないでしょう。cは培養であるから間違いで、髄液検査自体はクモ膜下出血か微妙なときにはやることもあります。

【112E42】
(簡単にまとめると)68歳の女性で被殻出血疑い。意識が悪く舌根沈下していてSpO2低下してきた。まず行う気道管理はどれか?
a. 経口気管挿管、b. 経鼻気管挿管、c. 輪状甲状靭帯切開、d. 経鼻エアウェイ挿入、e. ラリンジアルマスク挿入

aの経口気管挿管は特にダメな理由はなさそうです。おそらく正解でしょう。bはあえて経鼻の意味はないと思います。cはaやbができないときに検討します。

dは悩ましいですね。ネット上では脳出血疑いで禁忌と書かれているものもあるようですが、成書でこのような記載を見たことはありません。仮に経鼻エアウェイをしたからといって、絶対に亡くなるわけではありません。むしろ、呼吸状態が改善し予後が良くなる可能性もあります。少なくとも禁忌肢にはならないでしょう。aの選択肢があるので、敢えて選ぶ必要もなさそうですが、まずは経鼻エアウェイを行い、改善しなければすぐに経口気管挿管でもいいような気もします。
※ネット上で脳出血では経鼻エアウェイは禁忌とあるように、出題者も「脳出血では経鼻エアウェイは禁忌」と考えているのかもしれません。その場合は経鼻エアウェイは不正解になり、同様の理由でbも不正解になります。余談ですが、経口エアウェイは意識のある患者では嘔吐する可能性があり使用してはいけません。

eも悩ましいですね。aの選択肢があるので敢えて選ばなくてもいいと思いますが、ダメかと言われれば微妙です。

112E42については厚生労働省の発表を待ちたいです。採点除外になりそうな気もしますが・・。繰り返しになりますが、禁忌肢にはならないと思いますので、気にせずに春休みを有意義に過ごすことをお勧めします

目次