頭位分娩で三叉神経は損傷を受けないのか?【106I39】

コウメイ:読者の方から「頭位分娩で三叉神経は損傷を受けないのか?」との質問をいただきましたので回答します。 まずは質問の元になった問題を見てみましょう。

医師国家試験106I39

頭位分娩時に新生児が損傷を受けやすいのはどれか。2つ選べ

a 三叉神経
b 腕神経叢
c 迷走神経
d 横隔神経
e 坐骨神経

この問題に対し以下のような質問を持ったようです。

読者からの質問

解説で、「頬を強く圧迫した時や鉗子分娩の際に顔面神経麻痺を起す危険はあるが、三叉神経麻痺と関係しない」とありました。三叉神経も顔面の知覚を支配しているのだから、頬を強く圧迫した時や鉗子分娩の際に麻痺が起こるような気がするのですがどうなのでしょうか?

目次

1)分娩の際に麻痺が起こりやすい神経

過去の報告を見ると、

  • 腕神経叢
  • 横隔神経
  • 顔面神経

は分娩の際に麻痺が起こりやすいようです。顔面神経麻痺も報告されていますね。

三叉神経麻痺について調べてみましたが、三叉神経麻痺が起こったという報告は見つけることはできませんでした。ただし、三叉神経麻痺は起こらないとの報告も見るけることはできませんでした。

以上をふまえて、「なぜ三叉神経麻痺は起こらないのか?」について私の考え述べたいと思います。

2)三叉神経麻痺は起こらないのか?(私見)

まず顔面神経麻痺から考えてみましょう。顔面神経麻痺ではどのような症状が起こるでしょうか?眼瞼が開いたままだったり、口角が下がったりしそうです。誰が見ても一目で分かります。

では三叉神経麻痺の症状はどうでしょうか?皮膚の感覚がなくなりそうです。ある程度の年齢なら訴えることができますが、新生児では訴えることができません。

もしかすると三叉神経麻痺は起こっているが我々が気づいていないだけかもしれません。仮に起こったとしても大分末梢ですので、自然に治ると思われます。よって、三叉神経麻痺の報告がないのかもしれません。以上で解説は終わりです。

※もしより正確な情報をご存知の方がいらっしゃれば教えていただきたいです。

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