コウメイ:拙書『レジデントのためのこれだけ輸液』について質問をいただいたので回答します。
読者からの質問
p169の表について質問です。
乳酸リンゲルを1L輸液した場合の血清Na上昇をp168に記載のある計算で求めると、(130+4-120)÷(30+1)=0.45(mEq/L)になると思います。しかし表では0.48mEq/Lになっています。計算方法が間違っているでしょうか?
目次
1)輸液1L投与による血清ナトリウム上昇の予測式
輸液1Lを投与した場合に血清ナトリウムがどのくらい上昇するかは、下記式で予測することができます。
{輸液中(Na + K)- 血清Na}÷ (体液量 + 1)
※体液量 = 体重(kg)×0.6。※NaとKの単位はmEq/L。
2)同じ細胞外液でも商品によってNa濃度が異なる
質問者は上記の通り計算を行っています。では、なぜ表のように0.48にならないかというと、乳酸リンゲルのNa濃度が異なるからです。
質問者は乳酸リンゲルのNa濃度を130mEq/L(代表的な商品はラクテック)で計算していますが、表はNa濃度を131mEq/L(代表的な商品はソルアセトF)で計算しています。
131で計算すると、(131+4-120)÷(30+1)=0.48 になります。
※0.45と0.48で臨床的意義はほぼないでしょう。
「表の計算に用いた乳酸リンゲルのNa濃度は131mEq/L」と記載した方が読者にとってより親切ですね。紙面の都合もありますが、今後検討いたします。
以上で回答は終わりです。