コウメイ:読者の方から「画像問題が苦手です。どのように対策すればよいですか?」との質問をいただいたので回答します。
1)漫然と病変を探すのではない
おそらく画像問題が苦手な方は何のあてもなく漫然と病変を探していると思います。
このやり方はイマイチです。それよりも、所見の有無を確かめるのがより良い方法です。
実際の問題を通して具体的に見ていきましょう。
54歳の女性。2週前からの動悸を主訴に来院した。半年前から労作時の息切れを自覚している。意識は清明。身長162cm、体重50kg。脈拍108/分、不整。血圧102/72mmHg。心尖部でI音の亢進と拡張期雑音とを聴取する。右肋骨弓下に肝を2cm触知する。下腿に浮腫を認めない。心電図(A)と心エコー図(B、C)とを別に示す。
治療薬はどれか。2つ選べ。
a アトロピン
b ジギタリス
c リドカイン
d ワルファリン
e ニトログリセリン
2)病歴と身体所見から疾患を考える
画像がある問題と言えと、まずやるべきことは病歴と身体所見から疾患を考えることです。この患者は動悸があり脈拍が不正です。この時点で心房細動の可能性が高く、心電図も心房細動です。
次に心房細動の原因を考えましょう。心房細動の原因は
- 僧帽弁狭窄症
- 心房中隔欠欠損症
- 甲状腺機能亢進症
- 拡張型心筋症
などがありますが、本患者は心尖部でⅠ音の亢進と拡張期雑音とを聴取するので僧帽弁狭窄症の可能性が高いです。
3)どのような所見が見られるか予め考える
次に僧帽弁狭窄症では心エコーでどのような所見が見られるか思い出しましょう。もしこの時点でどのような所見が見られるか分からない方はは実際の心エコーを見ても何も分かりません。まだ心エコーを見る段階ではないので、どのような所見が見られるか教科書で確認しましょう。
※教科書で確認する際に文字だけ覚えても意味があません。必ず画像とセットで覚えるようにしてください。
僧帽弁狭窄症ならエコーで
- 僧帽弁の狭小化
- 左房の拡大
- DDRの低下
が見られます。これらが本患者であるかないかを確認します。くれぐれも画像から病変を見つけるのではなく、所見があるかないかを確認するようにしてください。
もし予想していた所見がなければ鑑別診断が違いますので考え直す必要があります。
4)所見を知らないもしくは初めて見た画像は解けません
以上から分かるように、そもそも所見を知らなかったり初めて見た画像問題は解くことが困難です。おそらく画像問題が苦手な方はそもそも画像を見たことがないと思います。上記の正しいやり方をできるように普段から練習することが大切です。