コウメイ:読者の方から「網膜動脈閉塞症」について質問をいただきました。
読者からの質問
網膜静脈閉塞症と網膜動脈閉塞症はどちらも血管が閉塞する疾患なのに、なぜ前者では血管が破たんして出血が生じて、後者では生じないのでしょうか。静脈と動脈の壁の強度の違いでしょうか?
目次
1)血管壁の強度の違い(私見)
おそらく質問者の考えた通りです。どちらも閉塞した部分より前の血管に圧力がかかりますが、動脈は壁が強いので出血せず、静脈は壁が弱いので出血すると考えられます。ただし、機序について記載している文献を見たことがないので、あくまで私見になります。
質問への回答は以上ですが、参考に網膜中心動脈閉塞症(CRAO)と網膜中心静脈閉塞症(CRBO)の眼底写真を掲載しておきます。
2)網膜中心動脈閉塞症(CRAO)の眼底写真:cherry red spot
※眼底写真の見方が分からない方はまずこちらをご覧ください。
網膜中心動脈が閉塞すると網膜に血液が流れないので網膜が蒼白になります。しかし、黄斑の部分は薄いので脈絡膜の血液が透けて赤く見えます(cherry red spot)。決して、黄斑の血流が増えたわけではありません。
3)網膜中心静脈閉塞症の眼底写真:火炎状出血
冒頭で説明したように、静脈が閉塞すると出血します(火炎状出血)。